昨年度の国内外からの観光客が44億人を超え、観光収入が3兆9,000億元(約61.5兆円)に達した中国。悪名高いトイレを改善しようと、政府は2015年より3年計画で「トイレ革命」を進めてきた。これまでに210億元(3300億円)もの資金を投じてきただけあって、「汚い」「臭い」「紙もなけりゃ、プライバシーもない」と言われてきたトイレに少なからず変化が見えてきているというが…。『scmp.com』など複数のメディアが報じている。
中国国家観光局(CNTA)は先月31日、2015年より進められてきた「トイレ革命」で、これまでに3万6000か所の公衆トイレが新設され、1万5000か所が改修を終えたと発表した。これで当初の目標の90%が達成されたという。
“ハード”部分が強化され、衛生面では着実に成果があがっているように見えるが、現実はかなり厳しいようだ。CNTA局長のLi Jinzao氏は「トイレの施設はグレードアップされたのにもかかわらず、中国のトイレ事情は国際レベルには及びません。ハードルになっているのは、何と言ってもエチケットです」と語り、人々にソフト面での改革を促した。
先月にはユネスコの世界遺産にも登録されている「北京天壇公園」にある、7つの「星付きトイレ」に設置されていた無料のトイレットペーパーの盗難が相次ぎ、その様子を撮影した写真がSNSで拡散した。当局は入口に“顔認証システム”を設置し、顔をスキャンした者だけに60センチのトイレットペーパーが配布されるよう対処した。ちなみに同じユーザーには、9分経たないとトイレットペーパーが配布されないという。