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writer : tinsight-yokote2

【海外発!Breaking News】マグニチュード5.6、群発地震におびえる米オクラホマ州 原因は過剰なシェールオイル・ガス採掘

世界各地で起きている地震の情報を素早く提供している『Earthquake Tack』というウェブサイト。今、米オクラホマ州で頻発する地震の状況への注目が一段と高まっている。そこではしばらく前から人為的な原因での群発地震が大きな問題となっているのだ。

米オクラホマ州の州都であるオクラホマシティ市の北側で頻発している地震。3日午前7時02分ごろにはマグニチュード5.6の地震を記録し、メアリー・フォーリン州知事は震源となったポーニー郡に非常事態宣言を発令した。「もはや黙ってはいられない」としているオクラホマの市民や環境保護団体。なぜならここで起きている地震は天然資源の過剰な採掘を原因とする“注水誘発地震”と呼ばれるものだからだ。

原油価格急落を招いた原因のひとつとしても知られるシェールオイル、シェールガス。カナダや米国ではエネルギー産業推進派のもと優れた水圧破砕法(=フラッキング)の技術が生まれ、そのあたりでは石油や天然ガスの大量採掘が盛んになり、代わりに「アーバックル地層」と呼ばれる岩でできた層などは廃水に砂や化学薬品、汚染物質が混ざった高圧液体で満たされるようになった。これに従ってオクラホマ、アーカンソー、コロラド、オクラホマ、ニューメキシコ、テキサスなどの州でマグニチュード3以上の地震が激増。彼らはまさにシェールオイル、シェールガスの産業発展のために犠牲になっている状況だ。

米国内務省が管轄する「アメリカ地質調査所(United States Geological Survey; 略称:USGS)」が2009年以降のこうした地震を“注水誘発地震”と明言するようになっていたなか、オクラホマ州プラーグでは2011年11月にも4.98kmの深さでマグニチュード5.6の地震が発生。USGSは今年3月には「特にオクラホマ州で誘発地震が頻回に発生するであろう」と発表しており、このたびはその予想がまさに的中したことになる。

それなりの大きな地震を経験している西海岸、特にカリフォルニア州の人々のような心構えがなかったオクラホマ州の人々。このあたりの建物は1900年初期の頃に建てられたレンガ造りや石造りが多く、強い地震で倒壊が起きれば大惨事を生む。このたびの地震では地震の発生した深さが5.95kmと2011年の時と大きな差はないものの、暖炉のレンガが崩れたことによる負傷者などが確認されている。自然災害ではないだけに建物の所有者、そして死傷者が事業者を相手に損害賠償を求める裁判を起こすのは当然ともいえる。

一方で地中への高圧液体の注入に制限をもうけたオハイオ州では注入誘発地震がすでに激減していることも判明。シェールガスもシェールオイルも供給過剰という今、エネルギー産業との共存に固執するか市民の安全な生活を最優先とするか、すべては州次第なのである。オクラホマ州の公益事業を監視する「Oklahoma Corporation Commission」という組織は2013年以降、すべての井戸に高圧液体の注入量を減じるよう強く働きかけていたが、今回の地震で震源地の周囲1,331平方キロメートルにある37の地下水汲み上げおよび高圧液体を注入する井戸設備を7日から10日以内に閉鎖するように強く求めた。

ちなみに先月24日にイタリア中部で発生した地震の規模はマグニチュード6.2。震源の深さが10kmと地表に近いため大きな被害につながっていた。このたびのオクラホマ州ポーニー郡を震源地とする地震でも、周辺のカンザス、ミズーリ、イリノイ、アーカンソー、テネシー、アイオワなどの州はもちろん、遠くはアリゾナ州の人々も揺れを感じたという。

出典:http://earthquaketrack.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)