欧米では子供の自立する年齢が日本よりも早いと言われる。ほとんどの子は親元から離れた場所にある大学に行くことで実家を離れ、自立の第一歩を踏み出す。そのため20代で親と同居している場合は、周囲が驚くことも少なくない。このほどフランス・パリ郊外のボーヴェに暮らす57歳の男が、裁判所から「親元を出て自立するように」という判決が下されたと仏紙『Le Parisien』が報じた。
『Le Parisien』によると、57歳になる「パスカルD」と報じられた男は83歳の母親、90歳の父親と一緒に暮らしていた。
ある日のこと、近隣住民が母親の叫び声を聞きつけ通報。それによりパスカルの素行が明らかとなった。高齢になる両親と住んでいながら、パスカルは普段から彼らに暴力的な行為を働いていたのだ。
通報された日に暴力を振るった理由は、「母親のアイロンがけが遅かったから」というものだった。母親の腕を殴りつけ、止めに入った父親の足を蹴ったパスカルは、暴力を働いたという罪状は認めたものの反省の色は全く見せなかったという。
有罪判決が下され2年の執行猶予がついたパスカルだったが、裁判長はさらに異例の判決を下した。それは「両親の家に出入りしてはならない」というものであった。
57年という長い年月、一度も両親の家から離れて暮らしたことがなかったというパスカルにとって、この判決は相当応えたようだ。「刑務所に入るよりも辛い。どうしていいかわからない」と裁判所で訴えたそうだが、年老いた両親の家から自立して親孝行するぐらいの気持ちを持ってもいいはずの57歳だ。今後、この判決がパスカルのためになることを期待したい。
出典:http://www.thelocal.fr
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)