ポーランドから脳死した母親のお腹で55日を過ごし、元気に誕生した赤ちゃんのニュースが飛び込んできた。『abc.net.au』などが伝えている。
ポーランド西部の都市ヴロツワフの南にある大学病院で、41歳の女性が脳死状態に陥ったのは昨年暮れのこと。脳腫瘍で救急車にて病院に運ばれたが脳死と判定された。女性は妊娠17週から18週ですでに安定期に入り、お腹のふくらみも目立っていた。
新生児治療施設の責任者であるバーバラ・クロラック・オレイニク氏は「女性は脳死状態でしたが、家族みんなにお腹の中の赤ちゃんを救って欲しいと懇願されました」と当時を振り返る。
「そこからは長い闘いでしたよ。我々は赤ちゃんが一日でも長く子宮にいられるよう最善を尽くしました。」
しかし女性の死から55日目の今年1月。オレイニク氏のチームは赤ちゃんが危険な状態にあると判断し帝王切開に踏み切った。家族が見守る中、妊娠26週で産まれてきたのは、体重たった1キロの小さな男の子だった。そして赤ちゃんの誕生から数時間後、脳死した母親の生命維持装置は外された。
それから3か月、男の子は新生児集中治療室で手厚い看護を受けながらすくすく成長し、体重も3キロにまで増えた。今のところ目立った障害は見られないという。
オレイニク氏は「妊娠17週という段階からよくぞ55日間も持ちこたえてくれたと思います。赤ちゃんはミルクをよく飲んで、しっかりと自分で呼吸しています。今後の経過観察は必要ですがとても順調です」と喜ぶ。
赤ちゃんは今月に退院し、家族のもとで初めての春を過ごす。
出典:http://www.abc.net.au
(TechinsightJapan編集部 A.C.)