結婚して間もなく自然妊娠で双子を授かった20代のある女性。陣痛が始まったのは妊娠22週のことだった。妊娠37週からが正期産と言われる中、予定より4か月以上早く破水。病院での治療が始まった。『washingtonpost.com』が報じている。
2月初め、テネシー州ジェファソン・シティ在住のクリスティン・ミラーさん(27)は教会での礼拝中に突然陣痛に襲われた。これまで経過は順調であったものの、予定日は6月上旬。家に到着する前に破水してしまったというクリスティンさんは、ノックスビルのユニバーシティ・オブ・テネシー・メディカル・センター(UTメディカルセンター)へ搬送された。
クリスティンさんは「赤ちゃんの命が危ないと直感しました。不安が募る中でドクターに“赤ちゃんにあと2週間だけお腹の中で頑張ってもらいます。我々も全力を尽くします”と言われました」と話す。そして医師の言葉通り、マイカちゃんは24週と1日、500グラムにも満たない小さな体で産声をあげた。2月14日、バレンタインの日の出来事だった。
米ボストンのタフツ・メディカルセンターで母体胎児医学が専門のサブリナ・クレイゴさんは、2014年に24日離れて誕生した双子の出産に関わった経験を持つ。この時の出産も様々な問題に直面したと語り「妊娠24週で産まれた赤ちゃんの生存率は約50%と言われます。無事に産まれてきても障害や後遺症といったリスクが非常に高いのが現状です」と指摘する。
産まれたマイカちゃんは男の子。そしてクリスティンさんのお腹の中には女の子、マデリンちゃんが残された。UTメディカルセンターの産科医で母体胎児医学が専門のクリスティーナ・シュマードさんは次のように述べている。
「マイカちゃんが早産で誕生した以上、マデリンちゃんの誕生も時間の問題だと思っていました。もちろんマデリンちゃんがお腹にいる時間が長いほど健康体である確率は高まるわけですから、スタッフ一丸となってクリスティンさんを見守りました。」
クリスティンさんができることと言えば、ベッドに横たわり安静に過ごすこと。マイカちゃん出産後3週間は、その腕にわが子を抱くことも許されなかったという。
「病院にいる誰もが、マデリンはすぐ産まれるだろうと思っていました。でも一日、また一日と過ぎていったのです。そしてマデリンが誕生したのはそれから5週半後でした」と語るクリスティンさんの表情は明るい。マデリンちゃんは自分で呼吸ができるほど元気で、一足先に産まれたマイカちゃんと一緒の部屋で過ごしている。病院にはもうしばらくお世話になる予定だ。
クリスティンさんのケースのように誕生日が違う双子が誕生するのは、二卵性双生児の場合に起こる。胎盤も羊膜もそれぞれ個別のものをもつ“二絨毛膜二羊膜”であるため、時間差で出産することが可能になるという。しかし、1時間、長くても1週間離れて誕生するのが普通のようで、マデリンちゃんのように1か月以上間を置くケースは非常に稀である。誕生日が違う双子の最長記録は、2012年に誕生したアイルランドの赤ちゃんで、なんと87日も離れていたということだ。
出典:https://www.washingtonpost.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)