パスタやサラダにササッとふりかける、その瞬間も大好きというパルメザンチーズ・ファンは多い。しかしその品質を疑ったことはあるだろうか。2012年に摘発された米国のあるチーズメーカー。その食品偽装行為に対する裁判がいよいよスタートするにあたり、チーズの成分表示に関しては疑わしいものが実に多いことを『bloomberg.com』が伝え、波紋を広げている。
「あなたのパスタにふりかけられたパルメザンチーズ、ひょっとしたらチーズではないかもしれませんよ。」
この信じがたい話は2012年、それまで人気ブランドであったペンシルベニア州のチーズメーカー、「Castle Cheese」社の工場に対する米国食品医薬品局(FDA)の抜き打ち調査がきっかけであった。100%パルメザンチーズと謳っていた商品の成分に、原材料費を抑える目的で「木材パルプ」の主要成分であるセルロースが相当量混ぜてあったのだ。同社は食品に関する虚偽表示の疑いですでに起訴されており、今月にも有罪答弁を行うものと予想されるが、CEOは刑務所に投獄される可能性も非常に高いという。
また『bloomberg.com』は独自の検査も実施している。そこで白と緑のコントラストが目印の「Essential Everyday」ブランドが販売している100%パルメザンチーズには、8.8%のセルロースが含まれていることが判明。「ウォルマート/グレートバリュー」の同商品には7.8%、有名ブランド「Kraft(クラフト)」でも3.8%のセルロースを含んでいることがわかった。セルロースは安全な添加物と位置づけられているものの、含有量として容認されているのは2~4%まで。どのブランドも“100%チーズ”と謳っていることには大きな問題がある。
さらに、削って料理にふりかけるタイプの超硬質チーズには羊または山羊の乳を原料としたロマーノチーズもあるが、そうと謳いながら実は牛乳由来のチェダーをかなり混ぜた商品も出回っていることが判明したという。こうしたことから彼らは、米国で販売されているチーズの20%は表示に偽りがあり、削ってふりかけるタイプの硬質チーズにおいて100%純粋なチーズと呼べるものは40%にも満たないのではと疑いをあらわにし、FDAには全米の無数のチーズ工場に対する調査の手を緩めないようにと呼びかけている。
においや硬さ、舌触わりの珍しさなど、新しいモノ好きなグルメにとってチーズは最高に魅力的なカテゴリーである。しかし最近では、プロセスチーズに使用される乳化剤(主にリン酸塩)に対する不安が語られるようになり、輸入チーズにおいてはリステリア菌汚染の問題も時おり発生している。そうした危険を回避するためにも、必ず成分表示を確認していただきたいものだ。
出典:http://www.bloomberg.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)