そのイギリス人男性は、300万円超を支払ってアウディの小型乗用車を手に入れた。しかし車に乗り込むと毎回、体調の異変を感じるように。ホルムアルデヒドが原因とみられる深刻なアレルギー症状を呈するようになったという。
男性は英サウスヨークシャーのバーンズリーに暮らすジェフリー・エバンスさん(64)。新しい愛車「Audi A1 1.4 TFSI- Sportback」の横に立って写真に収まるもつれない表情をしているのは、この車に乗ると発疹が出るという悩みを抱えているから。ホルムアルデヒドに対する強いアレルギー反応が新車からも起きてしまったというのだ。
「それを避けるため、現在は運転を1週間に1回、40分までと決めている」とジェフリーさん。燃焼化学の分野で博士号を取得しており、ホルムアルデヒドやアレルギー発症のメカニズムについて熟知している彼は、シャンプー、洗剤類はもちろん、寝具やトイレットペーパーにも細心の注意を払い、防臭剤や芳香剤を遠ざけ、衣類の洗濯にはベーキングパウダーと炭酸ナトリウムを使用するなど徹底している。最近では、お気に入りの高級木製スピーカーの塗装にホルムアルデヒド含有の問題が発覚し、失望感でいっぱいだそうだ。
ジェフリーさんは購入当時のことを『mirror.co.uk』に、「私がそうしたアレルギー体質であることを伝えてあるのに、アウディのセールスマンは“この車においては心配無用”と強く主張しました」と話す。やはりアレルギー症状が出るようになったことから問い詰めたところ、初めて「内部に使用されているプラスチック製品に、ほんの少しばかりホルムアルデヒドが含まれていたようです」と認めたというのだ。
約4~8%の人々がアレルギー反応を起こすと考えられているホルムアルデヒド。日本では建築物の壁紙、床材、合板、家具などに使用されている接着剤に含まれていたことから、「家を新築したのに体調不良=シックハウス症候群」としてたびたび報道されて有名になった化学物質で、皮膚、呼吸器、目、のどなどの粘膜に炎症を起こすことがある。また世界保健機関(WHO)の研究機関はこの物質をグループ1の“ヒトに対する発癌性が認められる”に分類して警告してきた。
アウディ社の対応も気になるところだが、『mirror.co.uk』の取材に対して彼らは「ジェフリー・エバンスさんの経験している不快感や不便さをとても残念に思います。私どもの製造する自動車の内装はほかのほとんどのメーカーが使っている物質を用いており、ホルムアルデヒドの検出量はEUおよび英国の基準値を完全にクリアする非常に低いレベルであることを確認しています」と回答している。
出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)