一羽だけ醜く生まれたヒナはみんなにいじめられ、ついには一人ぼっちとなってしまう。アンデルセン童話「みにくいアヒルの子」は誰もが一度は読んだことがあるだろう。このたび西オーストラリアで母鴨に抱かれている卵と一緒に発見されたのは…。『mandurahmail.com.au』が伝えている。
西オーストラリア・ブバード在住のレックスさんは、自宅で放し飼いにしている鴨の様子をチェックするのを日課としている。先月下旬、鴨の巣でレックスさんが発見したのは、真っ白な卵に寄り添うようにぴたっと動かない、小さな茶色のバンディクートの赤ちゃんだった。
バンディクートはオーストラリア、ニューギニアに生息するネズミに似た小型の有袋類で、絶滅の危機に瀕しているため保護動物に指定されている。小さなバンディクートに思わず「こんなところで何をしてるんだい」と語りかけてしまったというレックスさんだが、バンディクートは鴨の卵が孵化し始めてもその場を離れようとしなかった。母鴨がバンディクートを攻撃し追い立てるようなこともなかったので、レックスさんはバンディクートを見守ることに決めた。
「バンディクートが夜やってきては鴨のエサを食べているのは知っていたけど、鴨の巣にちゃっかり納まっているやつは初めてさ。でも大自然の中で生活していると様々な光景を目にするからね。大して驚かないよ」と笑うレックスさん。弱っていく様子もない赤ちゃんバンディクートに、姿は見せないが母親が近くにいて世話をしているのではと考えている。
鴨の親子の仲間入りをして5日になるというこのバンディクート、一度は鴨の巣を離れたものの、その日のうちに戻ってきたようで、レックスさんは「もしあんな小さなバンディクートが一匹でいたら大きな鳥にすぐやられちゃうだろう。鴨のそばなら居心地がいいし安心ってことかもしれないね」と目を細める。バンディクートは成長すると20~50センチになり、植物だけでなく土を掘り返してカタツムリや昆虫なども食べるようになる。鴨の赤ちゃんが大きくなる前にバンディクートも独り立ちしていくのであろうが、いじめられることなく家族のように寄り添っている光景は何とも微笑ましい。
出典:http://www.mandurahmail.com.au
(TechinsightJapan編集部 A.C.)