私たちに一番身近とも言える税金、消費税。2014年4月に5%から8%に上がったのもつかの間、2017年4月からは10%に移行される予定だ。税金が増加傾向にある中、家計に響かないよう真剣に取り組みたいのが「節税」だ。このたび実施された調査では、節税に興味がある人は約9割いるが、実行している人はわずか3割弱という実態が明らかになった。
年金運用調査委員会が企業年金に加入していない会社員もしくは自営業者500名に行ったインターネット調査(1月5日~1月6日)によると、税金を多いと感じている人が71%にのぼったという(少ないと感じている人はわずか8%)。さらに「税金を多いと感じている」と答えた人に、「節税に興味があるか」聞いたところ「YES」が89%という結果に。では、実際に「どのような節税対策を行っているのか」という質問には、なんと「節税を行っていない」が72%と最多回答となった。この調査から、税金を負担に感じ節税に興味があるにもかかわらず、実際には何も対策を講じていない姿が浮き彫りになった。
では、すでに節税を行っている人はどのような対策をとっているのか。その内訳は、積み立て型生命保険(9%)、住宅ローン減税(6%)、NISAの投資減税(5%)、ふるさと納税(7%)、個人型DC(1%)だった。しかしこの中の個人型DC(個人型確定拠出年金)について、シミュレーションを体験してみたところ、26%の人が個人型DCを始めてみたいと答えた。
個人型DCとは、個人が掛け金を積み立て、運用次第で年金額が決まる年金。この年金でどのぐらい節税できるのか。たとえば、30歳・会社員のAさんの課税所得は300万円、毎月の積立額を2万3000円とした場合、年間5万5200円の税金が戻ることになるという。60歳になるまで同じ金額を積み立てすると、トータルの節税金額はなんと165万6000円にのぼる。また、同じ積立額でも、課税所得が500万円のBさんだと、年間8万2800円の税金が戻る計算に。このようにそれぞれのケースで節税額は異なるが、調査対象者全員の積立金額の平均値は月々約1万4400円で、年間の節税額は約4万8370円となり、年間約18万円を積み立てると、約5万円がボーナスになる感覚と言えるだろう。
前述の調査で個人型DCを始める場合、相談したい窓口はどこか質問したところ、銀行(46%)、ファイナンシャルプランナー(24%)、個人型DC専用相談窓口(19%)、証券会社(11%)という結果になった。そこで1位の「銀行」の中でも個人型DCに力を入れているりそな銀行の森さんに話を聞いたところ、「現在、個人型DCは、企業年金を持たない会社に勤める会社員の方や自営業者などが対象となっていますが、2017年から企業年金のある会社員の方や夫が会社員の主婦の方なども対象となる予定です。りそな銀行では、個人型DCの対象になるのかのチェック方法や個人型DCを利用することで、いくら税金が戻ってくるのかなどを確認するお手伝いもしています」とのこと。2017年に個人型DCの対象者が拡がることで個人型DCを節税の選択肢に入れる人も増えそうだ。
個人型DCは、現役世代がリタイア世代のために支払う年金ではなく、あくまで自分のために積み立てるもの。つまり、節税というボーナスがついた非常に有利な資産形成プランなのだ。2017年に向けて今後注目を集めそうな個人型DCで、いくら税金が戻ってくるのか、まずはチェックしてみてはいかがか。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)