今月17日、米カリフォルニア州ターロックで世界最高級、トップ1%に入るという牛の精液が何者かによって盗まれる事件が発生した。『sacramento.cbslocal.com』が伝えている。
アメリカの子牛生産の70~75%は、雄牛の精液を採取し人が専用の器具を使って雌牛の生殖器に注入するという人工授精によって行われている。この技術により優良牛が有効利用され、畜産家はより計画的に後代を生産することが可能となった。被害にあった畜産農家は1週間に精液を2~3回採取していたが、数か月にかけて採取された精液の半分が一夜にして盗まれてしまったという。
オーナーのジョン・アゼベドさんによると、精液は-196℃の液体窒素が入った特殊なタンクに入れられ凍結されていたといい、その価値はなんと600万円。精液の中には世界で第5位に位置づけされている優良牛のものも含まれているという。これら優良牛の精液は、家畜改良の促進にも繋がるとされ需要も高い。この畜産農家はカリフォルニアだけでなく世界的に流通体制を持つだけに、その被害は計り知れない。
ここで働くアンソニー・レイスさんは「犯人にはきっと何を盗んだのか、盗んだものの価値さえわからないと思う。タンクには3500もの精液が入っており、1000頭以上の牛の生産が可能なんだ。こっちは生活がかかっているからね。本当に腹が立つよ」と話す。また、液体窒素は扱いを間違えると皮膚全層が損傷する3度熱傷や視力を失うこともあり、レイスさんは速やかなタンクの返却を求めている。ターロック警察もリサイクルセンターへのタンクの持ち込みがないかなどの情報提供を求めており、捜査を開始したという。
出典:http://sacramento.cbslocal.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)