現在、都市部を中心に575,000人ほどがHIV/AIDSと診断されている中国。企業の駐在員など仕事を理由に中国に長期滞在している外国人の間で、HIV陽性率が過去にないほど上昇していることが判明した。「HIV/AIDS=ゲイという印象があるが、異性愛者において増えています」と専門家は警鐘を鳴らしている。
このほど中国でHIV検査の陽性率や患者数についての最新データが発表されたが、近年になく高い上昇率を見せたのが在中外国人。『chinadaily.com.cn』などが伝えているところによれば、今年(1月~10月)はそのうち1800名以上が新しくHIV陽性者あるいはAIDS患者と診断され、ミャンマー、ベトナムなど近隣諸国から外国人が流入する雲南省、次いで広東、福建の各省、および北京市といった企業の海外駐在員の多い地域で陽性率が高いことがわかったという。
2012年から2014年までの3年分を合計した陽性判定者数は1,500名であったが、今年は過去3年分を1年も経たないうちに陽性率が跳ね上がった。中国におけるエイズ対策の専門家である「National Center for AIDS and Sexually Transmitted Disease Control & Prevention」のWu Zunyou氏は、「政府によるAIDS対策は外国人にはまるで行き届いていない。受診システムも無料の抗ウイルス薬も中国人のみが対象となっていることも原因だ」と指摘する。2010年の人口調査では中国には約60万人の外国人が暮らしていると発表されていたが、センターでは2005年の開設以来、25歳から40歳までを中心に約9,000人もの外国人をHIV/AIDSのクロであると確認したという。
この国では2年前、同性愛者が3000万人以上と増加傾向にあり、北京市ではAIDS患者が前年比20%増だと報じられていた。世継ぎとなる男児を望む家庭を増やしてしまった「一人っ子政策」がその理由として挙げられ、男子の30%は恋愛も結婚もできないという切実な事情を反映しているとも。そしてこのたびの発表で気になるのはHIV陽性と判定された半数を異性愛者、つまり「ストレート」の人々が占めたこと。若者たちが性に奔放といわれる今の中国だけあって、それは注射器の使い回しをするドラッグ使用者よりも多いという。
※ 画像はchinadaily.com.cnのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)