13日に発生したパリ同時多発テロで、89人が死亡したパリ中心部バタクラン劇場での惨劇。時間が経つにつれ、その詳細が明らかになってきた。その中で、わが子を守った母親がいたことを『independent.co.uk』が伝えている。
ロックバンド「イーグルス・オブ・デス・メタル」のコンサートに、母エルサ・デルプレス(Elsa Delplace)さん(35)、祖母パトリシア・サン・マーティン(Patricia San Martin)さん(61)と一緒に参加していたルイス君(5)。事件後の混乱の中、彼はヴァンセンヌ病院にいた。生還した観客は劇場での様子を「家畜を殺戮するようだった」「まるで人を殺す機械のよう」「遺体を乗り越えて外にでなければならなかった」と『BBC』の取材に答えているように、現場は地獄と化した。エルサさん、パトリシアさんとも銃弾に倒れ死亡した。
エルサさんの友達だったSihem Souidさんは、追悼の意をこめて雑誌『Le Point』に次のように寄稿している。
「エルサさんの息子ルイス君は、彼女にとって太陽のような存在だった。ルイス君を病院で発見した時、彼は全身血まみれでした。エルサさんの血で…エルサさんはルイス君を銃弾から守ろうとして盾になったのです。彼女はどんなに困難な時でも笑顔を絶やさず、ボランティアや文化・美術に携わりチェロの腕前が抜群だった。いつも正義感にあふれていて…きっとそれは彼女の血筋でしょう。エルサさんのチリ人の母はピノチェトの独裁政治を逃れてこの地に来た人だったから。」
89人の人生を一瞬にして奪ったテロ。劇場前では花やキャンドルが置かれ、数千人が祈りを捧げているという。
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(TechinsightJapan編集部 A.C.)