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writer : ac

【海外発!Breaking News】低体温症、火の上を走る。世界一危険な障害物競走「タフガイ・レース」が過酷すぎる(英)

人が試練と苦難を経て手にいれるものとはいったい何であろうか? 1986年からイギリスで毎年開催されている、世界で最も過酷な障害物競走「タフガイ・レース」がその答えを教えてくれるかもしれない。

1978年、「タフガイ・レース」の創設者である自称マウス氏(Mr.Mouse・本名ビリー・ウィルソンさん)は、無表情で快楽だけを求め、目的を失ってしまったような若者であふれている世の中に嫌気が差し、公園や荒れ地で小さなクロスカントリーやマラソンなどのイベントをスタートした。毎年のように規模を大きくしていったこのマラソンレースは、1986年、開催地をイギリス中部ウェスト・ミッドランズ州サウスパートンに位置する600エーカー(2.42平方キロメートル)の農場に移したことから、世界で最も過酷な障害物競走「タフガイ・レース」として誕生する。2016年に30年目を迎えるこのレースは、「笑顔で、皆が助け合い、怒りを解き放って、試練に立ち向かう」をコンセプトに、今や世界50か国から5000人以上が集うイベントに成長した。

マウス氏によると、「タフガイ・レース」は、17世紀中頃に創設された英国を代表する「グレナディアガーズ(近衛歩兵連隊)」にヒントを得たという。ナポレオン戦争、クリミア戦争、第二次世界大戦、そしてイラク戦争に至るまで、イギリスが参戦した戦争の殆どに従軍した部隊は、ワーテルローの戦いで不敗といわれた皇帝ナポレオンの軍団を退けた栄光をもつ。自らもグレナディアガーズで訓練を受けたと言うマウス氏は、「敵を倒すために泥にまみれながら這いつくばって進んでいく兵士の精神的、肉体的苦痛を想像してみて下さい。人間にはこういった鍛錬が必要なのです」と語る。レースの舞台となる全長15キロのコースには、スピード、バランス、スタミナ、柔軟性、正確さなどが試される250以上の障害物が用意されている。障害物はイベントが開催されるたびに1~10個程、その数を増やしていく。毎年骨折をするなどのけが人が続出するそうで、参加者はレースの前には必ず「death waiver(怪我、死亡した場合の一切の責任は自分にありますというもの)」に同意を求められる。まさに命がけのレースなのだ。

レースは800ヤード(約730メートル)のマラソンからスタート。水、火、狭い空間、電気、高さなどへの内なる恐怖心を克服し、極限と向き合ったものだけが完走できる。コースの一部を紹介すると…。第一次世界大戦をイメージして作られた泥の塹壕や、有刺鉄線が張られたコースをほふく前進する。10メートルの高さからターザンのようにロープを使ってジャンプする。ロープが張られた高さ12メートルの壁を登る。火のついた炭の上を駆け抜ける。池の上に上下に張られた2本のロープをつたって進む。低体温症と闘いながら氷の張る池を泳ぐ…といった具合で、ありとあらゆる障害が待ち受けている。リピーターも多いものの、毎年完走できるのは参加者の3分の1ほどしかいないという。

次のタフガイ・レースの号砲が鳴るのは2016年1月31日(日)。最大7000人まで受け入れが可能で、18歳以上であれば誰でも参加できる。16歳、17歳は保護者同伴であれば参加可能となる。エントリーは1年前に済ませると75ポンド(14000円)、2016年1月でのエントリーは120ポンド(22500円)となる。Tシャツ、メダル、リフレッシュメント、駐車場料金などが含まれる。グループや2回目以降の参加者はディスカウントされるが、4時間半でゴールすることが要求され、成績次第では罰金が科せられるというから容赦ない。レースは慈善の精神に基づいて行なわれ、集まったお金は馬の保護や地元のホームレス支援施設などに寄付される。1回のイベントで平均170000ポンド(3200万円)程が集まるというから関係者の鼻息は荒い。もちろん、世界中のメディアも熱い視線を送っている。

ホームページには「何ができるかということではなく、できないと思ったことを克服して始めて人はタフになれる。チャレンジしよう」との言葉。チャレンジしてこそ意味があるのだ。参加者には絶え間ない拍手と歓声が送られるのは言うまでもない。

※ 画像はtoughguy.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 A.C.)