思春期前の胸が膨らみつつある少女の胸を、熱した石やハンマーで叩きつけ、乳房の神経組織を壊し成長をとめる儀式「ブレスト・アイロニング」(Breast Ironing) は、カメルーン、ナイジェリア、サウスアフリカなどで、レイプやセクハラなどの性被害から子供を守るために行われてきた。活動家であり、女性性器切除の被害者でもあるレイラ・フセインさんが、雑誌『コスモポリタン』に投稿したブログでその衝撃的な真実を語った。
「国連女性のための英国全国委員会」(The UK National Committee for UN Women)の発表によると、ブレスト・アイロニングの被害者は世界中で380万人にものぼる。驚いたことに儀式の58%は、娘の幸せを願う母親によって執り行われている。その背景には成長途中の胸を排除することで「レイプや早婚から逃れ、よりよい教育を受けることができる」という伝統的な考え方がある。そして被害にあった少女たちも母親が自分のためにしてくれたことだからと、真実を語ることはほとんどないのが現状だ。しかしながらここ最近では、英国でも宗教団体などの手によって数千人の少女が同様の危険にさらされていると報告があり、その数は増加傾向にある。
女性性器切除とブレスト・アイアニングの危険性への認識を高めるためにキャンペーンを行っているロンドンを拠点とする慈善事業団体「女性と女児の開発機構」(Cawogido)は「2~3日から長くて2~3週間にも及ぶ儀式が少女に与える身体的、精神的苦痛は計り知れない。ガン、膿瘍、化膿、嚢胞が形成される危険が増すほか、乳房が全くなくなってしまうことさえある。」と警告している。
「文化、伝統、宗教的儀式であるから、というのは都合のいい言い訳に過ぎません。女性の自然な成長を無視し、男性の責任を問うこともなしに、この不条理な儀式が今でも行われていることが許せないのです。」自らを女性性器切除の生き残りと称するフセインさんの言葉は重い。
※ 画像はmetro.co.ukからのスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)