“郷に入っては郷に従え”とばかり、その土地の伝統文化、風習を貪欲に学び取ろうとするバックパッカーがとても多い南米。しかし慣れない食文化で体を壊す者も多く、時にはこのようなアクシデントすら発生することを忘れてはならないようだ。
今月3日、スピリチュアルな、しかし大変怪しい飲み物を与えられたことによりペルーで死亡したバックパッカー、マシュー・ドーソン=クラークさん(24)の遺体が生まれ故郷であるニュージーランド・オークランド市にやっと到着し、検死が始まった。マシューさんは過去1年半、ヨーロッパで豪華ヨットのクルーとして働き、このたびの南米旅行へ向かったという。
好奇心の強い彼は、古代アマゾンで数百年前から伝えられているスピリチュアルな世界に興味を示し、「7日間アヤワスカによるインナーヒーリング」なる費用23万円ほどの儀式に参加。そこで呪術師に差し出された飲み物を口にしたことが原因で命を落としてしまったとニュージーランドのメディア『nzherald.co.nz』が伝えている。
その飲み物の原料はアマゾン熱帯雨林育ちの「アヤワスカ」という植物。これには“自然界の幻覚剤”と呼ばれるジメチルトリプタミンという成分が含まれており、ペルー、ブラジル、エクアドルでは今も合法な飲み物としてスピリチュアルな体験を伴う儀式に用いられている。観光関係の省庁は「そうした儀式で出されるものには要注意。死者が出たこともある」と警告してきたが、それにもかかわらず観光客やバックパッカーのような一見の客が参加することもままあるという。
父親のスチュアートさんは息子の早世という悲劇に肩を落とすも、世界を旅して回りたいという冒険心に満ちていた息子を「誇りに思う」と称えた。遺体の到着により悲しい事実に向き合うことになってしまったことには「あまりにも辛い瞬間。息子は今も世界のどこかで大好きな旅を続けていると思いたい」などと述べた。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)