よく聞く病名で治療方法も日進月歩でありながら、正しい知識を持ち合わせている人が非常に少ないと言われるものに「B型肝炎」が挙げられる。このほど中国・天津市の大学の寮で、この病気を苦に19歳の女子学生が自殺した。友人から孤立し、さびしさに耐えられなかったもようだ。
このほど中国・天津市の「天津師範大学(Tianjin University)」で学ぶ19歳の女子学生が、寮の自室で練炭自殺により死亡した。新学期が始まる前に健康診断が行われ、彼女がB型肝炎ウイルス(HBV)のキャリアであることを知った友人や寮生が、彼女に対して突然よそよそしくなり、人生を悲観したのではないかという。
亡くなったのは福建省の出身であるWu Xinyiさん。昨年12月6日に献血に協力してその事実を突き付けられた。2010年、中国・保健省は職場や学校においてHBVキャリアを差別してはならないとの規則を定めていたが、同大学は「迷惑をかけないという医師の証明書を提出するように」と指示しており、寮も3月には相部屋からシングルルームに移っていた。だが福建省の実家で休養をとるために年度末の試験を受け損ねたWuさんは、この春に2年生に進級することを許されなかった。
「娘はこうして心身ともにどんどん追い詰められていった」と語るWuさんの母親Chen Xiaolingさん。Gao Chaoさんという友人だけは「B型肝炎は血液や体液を介してのみ感染するもので、普通に接していれば何も心配は要らない。仲間外れはやめよう」とWuさんをかばい続けたが、それに対してほとんどの学生が「やっぱり怖い」と返事。B型肝炎という病気がまるで正しく理解されていないことを痛感し、Wuさんは心を痛めていたという。
「小説家の史鉄生は“誰も死に急ぐな”と言っていたわ。私もそれは正しいと思う。でも私にとってこの人生は、終わりを待つにはあまりにも長すぎるような気がする。私の世界、この体はもう壊れてしまっているの。自分ではどうにもできないのなら、そこから逃げ出してしまいたいわ。こんな私をどうか許して」との遺書が公開されている。
※ 画像はshanghaiist.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)