新年度がスタートし、お花見や歓送迎会シーズン、ゴールデンウィークが終わった今、疲れのピークを感じている人も多いだろう。「だるい」「疲れが抜けない」といった症状が出たり、栄養ドリンクを飲んでもなかなか回復しないのは、肝臓の機能低下が原因かもしれない。
肝臓は、代謝やエネルギー貯蔵などをはじめ、500種を超える働きを備えている。肝臓の機能低下は全身の疲れに繋がるため、健康維持のためには肝臓のケアが非常に重要なのだ。専門家による研究を基に、信頼性の高いオルニチン最新情報の創出や発見を目指して設立された『オルニチン研究会』が発表したレポートによると、肝機能を改善するには、「オルニチン」がカギとなるという。
「オルニチン」とは、肝臓の働きを保って疲労回復の助けとなるアミノ酸の1種。肝臓に良い食材として広く知られるシジミには、オルニチンが豊富に含まれている。元々オルニチンは人間の体内にも存在し、血液に溶け込んだ状態で体内を巡っており、肝臓では有害物質であるアンモニアの解毒を担っている。
アンモニアは疲労の原因となる物質の一つとも言われており、体内に蓄積されるにつれ、だるさや疲労感が増していく。オルニチンは、そんな疲労の原因物質であるアンモニアを分解し、疲労回復を助ける働きをしているのだ。しかし、暴飲暴食や運動不足などの不摂生を続けると、肝臓の機能が低下し、体内のオルニチンによるアンモニア処理が追いつかなくなってしまう。では、どう対策したらよいのだろうか。
協和発酵バイオ・学術研究企画室の西村明仁氏は、「あらかじめオルニチンを摂取しておけば、肝臓に負荷がかかったような場合でも、オルニチンが肝機能の働きを助けてくれると期待出来る」と語っている。実際にオルニチンの効果については、いくつかの研究によって科学的に検証されている。
その一つとして、東京工業大学の田川陽一准教授による「ES細胞」を使った実験がある。ES細胞で擬似的な肝臓を作り、オルニチンを添加したものと、しないものを用意。それぞれにアンモニアとアルコールを振りかけるテストを行った。すると、オルニチンを添加しないものは細胞がどんどん死んでいく結果となり、添加したものは細胞死が抑制されたという。
この実験により、「オルニチンがアンモニアやアルコールから肝臓細胞を保護する」ということが細胞レベルで認められたのだ。さらにオルニチンが「γ(ガンマ)-GTP」の数値を下げる効果も報告されており、すでにドイツでは肝機能を向上させる薬にも使用されている。これらのことから、オルニチンの摂取が肝臓ケアに重要であることがわかるだろう。
西村氏は「サプリメント等でオルニチンを摂取することでも、肝臓保護効果が得られるのではと考えています」と話しており、継続的にオルニチンを補うことを勧めている。バーベキューをしたり、ビアガーデンに行ったりと楽しいイベントが増えるこれからの時期に向けて、今からオルニチンを摂り、肝臓ケアを始めてみてはいかがだろうか。
■オルニチン研究会サイト http://ornithine.jp/lp/
(TechinsightJapan編集部 七海香)