イラク北部でこのほど、腹部に大きな傷を持つ遺体が多数確認された。ある目的により残虐極まりないテロ組織ISIS(ISIL・Islamic State)の手で殺害された可能性が高いとして、国連安保理が調査を開始するもようだ。
イラクのMohamed Alhakim特使が17日、腹部に外科的手術を受けた跡を持つ遺体が北部モスルの近くで多数発見されたことを、国連安全保障理事会に報告したと明らかにした。虐殺はそこを本拠地にしているテロ組織ISIS(ISIL)によるものである可能性は極めて高く、臓器販売で彼らが大変な収益をあげているのではないかと指摘している。
海外の複数のメディアが伝えているところによれば、遺体は15名分で墓地に簡単に埋められているところを発見されたが、目的は臓器であったことを物語るように、いずれの遺体も腹部に大きな傷跡が確認されているという。またこの虐殺と並行して12名ほどの医師が処刑されていたもよう。特使は「医師らは臓器摘出行為を拒んで殺害されたのではないか」と述べている。
テロリストが人の臓器販売により多額の資金を調達しているという情報については、中東メディアのひとつ『Al-Monitor』が昨年、耳鼻咽喉科医のSiruwan al-Mosuli氏らの情報をもとに、モスルで外国人医師を含む複数の医師が不法な臓器摘出手術を行っている様子を伝えていた。誘拐された一般人や負傷兵などが犠牲者であり、摘出された臓器は人身売買においてマフィアさながらに暗躍する国際的ネットワークに届けられていたとしている。
特にシーア派やキリスト教徒のコミュニティを敵視してきたISISだが、1月には少なくとも790人が殺害されるなど、最近の虐殺の対象は彼らのほかにトルクメン人、ヤジディ教徒、そしてスンニ派でも彼らの強いる厳しい規律を守らない者が含まれている。このテロ組織の“処刑”の対象は際限なく広がりを見せており、Mohamed Alhakim特使は「人の命への大変なる冒涜だ」と強く批判している。
※ 画像はrt.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)