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writer : tinsight-yokote2

【海外発!Breaking News】子供の肥満を放置する親へ。プエルトリコでは罰金制度を検討。

「この国から肥満を追放せよ」のスローガンを掲げる国は多いが、これはちょっと行き過ぎか、それともこれくらいしなければ問題の解決は難しいのか。プエルトリコの議会に興味深い法案が提出された。子供を太らせた親に対して罰金を科そうというのだ。

米国本土の小児における肥満率が18%と徐々に減じてきている中、プエルトリコでは28%以上の小児が肥満の問題を抱えている。肥満はいずれ代謝性疾患、糖尿病、高血圧といった病を引き起こす可能性が高く、寿命は短くなり、医療費の負担額は大きくなる。そのため幼い時からの食生活の改善と運動が何より大切だと強く呼び掛けられるが、肥満児の数は増加の一途をたどっているそうだ。

そこでプエルトリコの上院議員ジルベルト・ロドリゲス氏は今月9日、子供の肥満は親のネグレクトのせいという観点に立って、そうした親に対する罰金制度を導入しようという法案を議会に提出した。肥満児か否かのふるい分けは公立学校の教師が行い、カウンセラーやソーシャルワーカーに報告。各市町村の児童保健課の職員がその子の両親と面談し、食習慣の聞き取りや肥満を伴う持病についての調査を行い、ダイエットやエクササイズのプログラムが個別に提案される。その後4週間ごとのフォローアップを経て、6か月後に減量の成果がみられない場合は「警告」。さらに6か月の猶予が与えられ、それでも改善しなければ約6万円~9万5千円の罰金刑が言い渡されるというものだ。

ただし、この法案については米・小児科学会プエルトリコ支部の複数の医師が反対しており、テキサス工科大学栄養学部の学部長であるニクヒル・デュランダー氏も、「肥満の原因は様々で、食事の量を減らしてすべてが解決するわけではありません。太りやすい遺伝子、環境中の化学物質、睡眠の質や量、胎児期の状況などにも関係しているためです」とやはり反論している。

プエルトリコにおける化学物質の影響については、30年ほど前から女児の早期乳房発育(7歳までに乳房が膨らみ始める)の問題が大きく取り上げられ、調査が続けられてきた。原因として特に疑われるものとしては、内分泌かく乱物資として有名なフタル酸エステル類などが挙げられている。

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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)