英金融最大手で世界屈指の資産を誇る「HSBC」が、世界各地の顧客の資産をスイス支部に集めて脱税をほう助していたとされる機密文書が流出。危機感をおぼえた大変な数の顧客がHSBC離れに転じ、株価も下落し始めていることが報じられた。
世界の金融界最大手のひとつ「HSBCホールディングス」(本拠地:英ロンドン)に激震が走っている。9日、HSBCで2007年に作成された門外不出の機密文書が流出したことを世界中のメディアが伝えたのだ。真実であれば、HSBCスイス支部が数千という富裕層の計1,190億ドル(約14.1兆円)の資産を隠し、脱税をほう助していたことになる。そこには英国籍の7000人の富豪、世界の著名人や実業家、国家の独裁者、紛争ダイヤモンドの密売人、国際犯罪組織、武器商人らの名も挙がっているもようだ。
この情報は2007年当時HSBCにいたHerve Falcianiという元社員が発見したもので、彼はそのデータを3年後に英国歳入関税庁(HM Revenue and Customs)、金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)に持ち込んだ。ところが大きな問題として扱われることはなく、さらに当時HSBCのトップであったスティーブン・グリーン会長が2010年に辞任して英貿易相に就任。彼がその巨額の脱税ほう助を知らないわけはないとして、このほど世界中の大手メディアが改めてその情報を発信。徹底した捜査を求めるべきだとした。
またこれを機に、各国の国税庁がHSBCと取引を続けてきた富裕層に対して目を光らせ、徹底的な調査を始めることは必至であり、危機感を覚えた顧客の間でHSBCとの取引をやめる動きが進んでいることを英国のメディアが伝えている。富裕層はスイスに口座を持つとよいとはよく聞かれるが、不正が生じないような仕組みに変える必要があるとの声が高まっている。
※ 画像はdailystar.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)