いささか大きいサイズの小惑星「2004 BL86」が、地球に向かってかなり近づいてきた。米航空宇宙局(NASA)はその小惑星の今回の地球接近を、「貴重なデータを得るためにじっくりと観測する」と発表。地球と衝突する可能性が指摘されていたことについても触れている。小惑星に関する衝突の懸念は、「一難去ってまた一難」といった感じだ。
これまで地球に接近したものより、直径500mとかなり大き目の小惑星「2004 BL86」。まもなく地球に120万kmというところまで接近することを世界のアマチュア天文家たちは楽しみにしているが、“山ほどの大きさ。これに衝突されたら地球は一溜まりもない”と表現したのは英メディア『dailystar.co.uk』。昨年から、この小惑星が地球に衝突する可能性があるのではないかと指摘されていたためだ。
11年前、米ニューメキシコ州での観測により発見された「2004 BL86」。NASAのDon Yeomans氏はこのほど、「“近い将来”という話であれば衝突の脅威はないでしょう。今回の接近を私たちは、この2004 BL86ほか小惑星そのものを学ぶ貴重な機会にしたいと考えています」と発表した。また脅威はないという発言の背景には、核兵器を使用して小惑星を迎え撃つ技術がその頃には確立しているとの考えもあるようだ。そのプロジェクトにかかわるRobert Weaver氏は、「小惑星の衝突のリスクは甚大です。直撃を受けた広範囲が壊滅し、衝撃的な津波が生じて地球全体が大きな被害をこうむります」と添えている。
地球近傍小惑星の中でも、特に地球からの距離が約750km以下と計算される直径150m以上の小惑星は「潜在的に危険な小惑星(PHA)」と呼ばれるが、その数はなんと1300個以上。軌道の計算は寸分の狂いも許されないといわれる中、これらは惑星重力の影響で軌道が変化することがあるという。次の心配は、ロシアの天文学者Vladimir Lipunov氏が指摘した「2014 UR116(=2008 XB)」である。NASAはその危険性を否定しているが、油断は禁物との声もあるようだ。
※ 画像はdailystar.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)