松島みどり法相は9月30日に、性犯罪の厳罰化について議論する検討会を設置する方針を明らかにした。ネットによる“性犯罪の厳罰化”についてのアンケートを行ったところ9割以上が「厳罰化すべき」と回答しており、何らかの対策が必要と考えている人が多いことをうかがわせる。
先月、松島みどり法相が性犯罪の厳罰化を検討する動きを見せたことを受けて、Yahoo!ニュースの意識調査で“「性犯罪の厳罰化」をどう思う?”というアンケートをとったところ、15万8000人以上からの回答がありその関心の高さを証明した。
■「性犯罪の厳罰化」をどう思う?
・「厳罰化すべき」:93.3%(147,562票)
・「現在のままでよい」:4.0%(6,250票)
・「軽くするべき」:1.4%(2,233票)
・「わからない」:1.3%(2,080票)
(Yahoo!ニュース 意識調査調べ 対象は158,125人。実施期間:2014年9月11日~2014年9月21日)
「厳罰化すべき」が9割以上を占める結果となった。回答者によるコメント数は190件に上り、やはり厳罰化賛成派からのものがほとんどだが、その内容は様々だ。
「女性は男性の所有物」といった考えや「女性が抑圧された」社会が根底となり性犯罪の刑罰が軽いとの見方もある。松島みどり法相は、「強姦(ごうかん)罪を被害者が告訴しなくても問えるようにすること」など主として強姦罪に関する厳罰化の検討に入ろうとしているが、回答者からは「強姦罪と痴漢や盗撮などは区別すべき」といった主旨の意見が少なからずあった。
「強姦罪」については「去勢すべき」、「悪質さに応じ、無期、終身、死刑の中から三択」などの刑に処すべきとの意見がある一方で、「痴漢は冤罪も多いので対策が必要」と心配する人もいる。「基本賛成。ただ、方向性は間違えないで欲しい」など、“性犯罪”を一括りにして厳罰化を進めることがないよう慎重に行うべきとの意見もある。
強姦については海外でもインドやブラジル、南アフリカなど深刻な社会問題となっている国は多い。アメリカも有名大学内で強姦が頻発するなど深刻な事態となっている。アメリカ政府は“性暴行撲滅”キャンペーン『IT’S ON US』を始めており、オバマ大統領や著名人が「IT’S ON US」(これは、みんなの問題だ)と呼びかける動画も公開された。
『IT’S ON US』のホームページ(http://itsonus.org/)には「Talk to your friends honestly and openly about sexual assault.」(友だちに、性的暴行について正直に打ち明けて相談しよう)、「Never blame the victim.」(被害者を責めてはならない)など13項目にわたり、“性暴行撲滅”へ向けてのポイントを呼びかけている。
前述のYahoo!ニュースの意識調査では、「性犯罪の厳罰化が抑止力になるとは思えない」という意見も出ていた。アメリカでは性犯罪者にGPSを装着し居場所を監視されるが、こうしたキャンペーンを打つ事態となったことから法律の抑止力にも限界があることが分かる。日本でも法的な対策とともに社会全体の意識について考える必要があるのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)