赤崎勇氏、天野浩氏そして中村修二氏のノーベル物理学賞受賞でその存在が益々注目されているLED照明。エネルギー節約や環境保全の面からも、世界各地での採用が次々に決定している。そうした中、3氏のノーベル賞受賞が発表された直後の9日、ローマ市がシスティーナ礼拝堂の照明及びローマ市内の街灯にLED照明の採用を発表した。
ローマ市長Ignazio Marino氏はシスティーナ礼拝堂のLED照明の採用について、11月から約7千ものLED照明を使い、祭壇に描かれているミケランジェロのフレスコ画『最後の審判』を照らす予定であると説明。LED照明は作品を損傷することなく照らすことが可能なため、システィーナ礼拝堂を訪れる年間数百万もの観光客が、この照明によって作品の詳細部分が鑑賞できることに期待を寄せている。
またMarino氏は同時に、ローマ市内の約1万2千もの道路、歩道及び広場の街灯約19万本をLED照明に交換する予定であることを発表した。
これはLED照明の利点であるエネルギー節約及び二酸化炭素の排出量削減に着目したものだが、その投資額は合計約4500万~5000万ユーロにも及ぶことが予想されている。LED照明に交換することで電気代をこれまでの約55%に、金額に換算すると年間約1500万ユーロの節約が可能になるそうだ。
なおヨーロッパにおけるLED照明の採用例として有名なのは、2011年12月から始められているフランス・パリのルーヴル美術館におけるものである。ルーヴルと日本の東芝が共同で行っているこのプロジェクトにおいて、2011年にはルーヴルの名物であるピラミッドが、2012年にはナポレオン広場がすでにLED照明に交換されており、今年末までには正方形の中庭クール・カレにLED照明が設置される予定であるという。
※ 画像はthelocal.itのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)