このほどアメリカ航空宇宙局(NASA)が土星についてのビッグなニュースを放った。その第2衛星である「エンケラドゥス」を覆っている大変厚い氷の下に、海水らしきものが溜まっているというのだ。
1789年に発見され、ギリシア神話に登場するギガース族の名が付けられた土星の第2衛星「エンケラドゥス」。土星からは23.8万km離れたところを、1周約33時間で公転している半径252.1kmの星である。氷の小さなボールのようだと言われてきたこの衛星が、地球外生命体の存在をかつてないほど強く感じさせるものであることをアメリカ航空宇宙局(NASA)が報じ、話題となっている。
『Science(サイエンス)』誌にも発表されたこのたびの調査結果。それはエンケラドゥスの表面を覆っている厚さ40kmほどの氷の下に、海と呼べるような水が溜まった箇所が一部あるということ。さらに“海底”が岩石であることから、その水には生命体にとっての源ともいうべきミネラルが溶け出しているのではないかという。主任研究員であるルシアーノ・アイエス氏はテクノロジー系の米メディア『The Verge』に、「この星はかつては生命体の存在をまったく感じさせない、どうでもよい星でした。事態が変わったのは2005年。この衛星が数百kmもの高さで間欠泉を噴き上げているという事実が分かったのです」と説明。NASAはその時以来、「カッシーニ(Cassini)」という宇宙船に10年にわたるエンケラドゥスの観察を続けさせているそうだ。
『ニューヨーク・タイムズ』紙も「今、最も地球外生命体発見の予感があるのは、本当に小さなこの衛星。火星の比ではない」とこれを高く評価しているもよう。調査はまだまだこれからである。「カッシーニ」がその間欠泉の様子をしっかりと捉え、多くの有用なデータを送ってくることに世界中からも期待が集まっているもようだ。
※ 画像はsaturn.jpl.nasa.govのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)