writer : maki

「息子の入学式」で欠席の教師に賛否。「生徒との信頼築けない」「納得できる欠席理由」

女性高校教師が他校に通う長男の入学式に出席するため、自校で担任を務める1年生の入学式を欠席。県教育長が「新入生の保護者から心配や不安の声が聞かれた」ことから異例の“注意”を行った。この件についてYahoo!ニュースが意識調査を実施しているが、回答数で賛否に大差がつかない状況となっている。

今回の件の大枠は、「担任が“自分の子供の入学式”に出ることを理由に“教え子の入学式を欠席”することはいかがなものか」という点で批判が起きたことが発端だ。該当の入学式に来賓として出席した県議が、「担任の自覚、教師の倫理観が欠如している」と憤慨。その後、県教育長も校長会で担任が欠席したクラスの「新入生や保護者から心配、不安の声が上がった」と報告し、「生徒が安心して高校生活をスタートできる」ように努力するよう“注意”した。それらの情報も手伝って、はじめは担任への批判が多く聞かれた。

この50代の女性教師は校長に許可を得ており、校長が入学式でその欠席理由を説明した。女性教師が作成した「入学式という大切な日に担任として皆さんに会うことができないことをおわびします」という文章が生徒に配られていた。また、同県の県立高校では、これとは別に男女3人の担任教諭が子息の入学式出席を理由に休暇届を提出し、勤務先の入学式を欠席している。複数同じような事態が起きたことも、県教育長が異例の“注意”に踏み切った要因といえそうだ。

当初、報道された時点ではこうした教師に対する批判的な面がクローズアップされたが、その翌日からYahoo!ニュースが『担任が「息子の入学式」で欠席、どう思う?』という質問でアンケートを開始したところ、意外にも賛否の数に大差はない。現時点では「問題だと思わない」と回答する者が若干多いほどだ。

■担任が「息子の入学式」で欠席、どう思う?
・「問題だと思う」:43.3%(130,735票)
・「問題だと思わない」:48.8%(147,331票)
・「どちらでもない」:7.9%(23,655票)

(Yahoo!ニュース 意識調査調べ 対象は301,721人。2014年4月16日10時時点 実施期間:2014年4月12日~2014年4月22日)

“担任が息子の入学式を優先して、教え子の入学式を欠席する”ことについて「問題だと思う」のは43.3%、「問題だと思わない」のは48.8%とその差は5.5%となった。

しかも、新入生の保護者たちが「今の教員は教え子より息子の入学式が大切なのか」と困惑しており、現場にいた県議は「新入生たちの気持ちを考えないのか。校長の管理責任も問われる」と憤慨したという。そうした報道を受けた上で「問題だと思わない」の意見がわずかながら多い結果は興味深い。

1000件を超える回答者のコメントから特徴的なものをピックアップすると、「問題だと思う」には「大切な学校行事は優先すべき。それくらいの覚悟を持って担任を引き受けていただかなければ、子供たちとの信頼関係は築けないのでは」、「この程度で受け持つクラスを放棄する担任なんか信用できない」といった意見もある。

対して、「問題だと思わない」には「自分も子持ちなので、この教師の気持ちも理解できる。正直に説明してもらえればとても納得できる欠席理由だと思う」、「頻繁に休むわけでもないし、昨今は政府が育休を勧めているのだから、教職の人とはいっても今回のケースは許されるべき」などの意見もあった。

また、「休暇届を提出して受理されている以上、どう休暇を使おうとその人の勝手。後からゴタゴタ言う方がおかしい」、「教師個人の資質や姿勢だけでなく『なぜ休暇を認めたのか』から始まり、人事・配置の問題といった仕組みにも目を向けるべき」という意見も見受けられた。

今回は、同じ県で同時期に4件発生していることから、今後も似たようなことがあり得る。とはいえ世間の意見がこれほど多様なのだから教師の認識もそれぞれであり、すぐに解決策が見つかる問題でもなさそうだ。現場でも本音を出し合う場が必要かもしれない。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)