米ペンシルベニア州で隣の家で飼われていた犬を盗んだとして女が逮捕された。しかしその隣人は重い病で瀕死の状態。女は自分がその犬の面倒を見てあげなければと思ったようだ。だが法も動物病院も彼女の味方をしなかった。犬の行方もわからず、なんとも不幸な出来事に町はすっかり暗くなってしまっている。
米ペンシルベニア州ピッツバーグでこのほど、隣人が飼っているシベリアンハスキー犬を奪った容疑で57歳のジゼル・パリスという女が逮捕された。女は激しく抵抗し、2人の警察官に暴力をふるったことから窃盗罪と住居侵入罪のほかに公務執行妨害罪にも問われ、弁護士もつかず有罪判決を受けると刑務所に収監された。
そのシベリアンハスキー犬は8歳の“ソー(Thor)”くん。飼い主はマーク・ボーラーさんという男性だが、彼は咽頭がんに冒されて死期がかなり近づいており、残された時間をもう一度ソー君と一緒に過ごしたいと望んだところ、自宅の庭からソー君が姿を消していると知り、警察に通報した次第である。だが今回の事件の経緯について、愛犬家たちはやや複雑な印象を抱いている。
警察の捜索により分かったのは、隣人であるパリスが昨年11月下旬からソー君を自分の元で飼育するようになったことと、今年1月に動物病院に連れて行ったことであった。ところが病院はソー君の真の飼い主がパリスではなくボーラーさんであることを知ると態度が変わり、病院とパリスの関係は険悪なものに。ここでパリスはソー君に関わることを放棄してしまったのであった。ソー君を抱きしめるという最後の夢が今も叶わないボーラーさん。彼が失意のどん底にあることから、警察は「ソー君の所在は現在調査中」としている。
パリスにとっては隣人への親切心と犬への愛情から始まったことであろうが、ペットは他人のれっきとした財産。彼女はあまりにも無責任で法にも無知であった。また長期の不在が見込まれるからには、ボーラーさんもしっかりとした第三者にペットの世話を委託するべきであった。悪意の人がいないだけに大変残念な事件である。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)