writer : maki

スマホの必要性どう思う? 企業がとった社員の“脱スマホ”対策に賛否両論。

スマートフォン(スマホ)が普及するに連れて、「歩きスマホ」による事故やスマホ用無料通信アプリがいじめの要因と指摘されるなど社会問題も起きている。ある企業が社員の“脱スマホ”のために奨励金の支給を開始した件について、ネットで意識調査が行われた。本当のコミュニケーションをとるには何が必要なのか、考えさせられるものだ。

時間さえあればスマホを触っていなければ落ち着かない、昨今では「スマホ依存」という言葉まで登場した。ネットの相談サイトにも「スマホに機種変更してから同僚との会話がなくなってきた」という悩みが寄せられる状況だ。そんな中で岐阜県の産業機械部品メーカーが、「アナログなコミュニケーションの大切さを考えるきっかけになれば」と社員の“脱スマホ”に奨励金の支給を開始したことが話題となった。

具体的には、社員がスマホを使わなければ毎月5000円を支給するというもので、今年の7月から開始された。スマホから「ガラケー」に切り替えた者もおり、それにも奨励金は出る。制度を取り入れてから社員90人のうち20人が“脱スマホ”したという。

この件についてYahoo!ニュースで、「社員の“脱スマホ”に奨励金、どう思う?」という意識調査を実施したところ、以下のような結果となった。

■社員の「脱スマホ」に奨励金、どう思う?
・「脱スマホ」を進めてほしい:49.0%(21,892票)
・「脱スマホ」を進める必要はない:37.1%(16,578票)
・わからない/どちらでもない:13.9%(6,177票)
(Yahoo!ニュース 意識調査調べ 対象は44,647人。実施期間:2013年11月3日~2013年11月13日)

スマホがこれだけ普及している中で、「“脱スマホ”を進めてほしい」との回答が49.0%にのぼり、「進める必要はない」の37.1%を上回った。集計結果と共に注目されるのが、回答者から寄せられたコメントである。

「今や家庭の内外を問わず、大人も子供もなりふり構わず無言で指先だけをせわしなく動かしスマホに釘づけ…。嘆かわしい世の中になった」、「コミュニケーションできない人が増えすぎ。スマホやりたいため優先席に座る奴らもいるように、一般人として、企業人としてもマナーを守れていない。分をわきまえてつかうことが大事」といった「スマホ依存」を指摘する意見もある。

「普通のガラケーでも十分にコミュニケーションはできます。人間あまり便利になりすぎると思考能力が低下するだけです」とガラケーを推奨するものから「FacebookやTwitterなどガラケーですべてできるが、ガラケーに変えるだけで問題は解決しない」というコメントもあった。

中でも目を引くのが「使う人の問題だからスマホがなくてもコミュニケーションがとれないんじゃないか」、「ガラケーも同じようなものでは。コミュニケーションの問題でいうなら、根っこに社会や世代のいろいろな問題がある」、「スマホに責任はない。物事の根本は使う側のモラル以外の何ものでもない」といった社会環境や使う側の資質を問うものだ。

もし、企業が奨励金を出して“脱スマホ”が進み、社員のコミュニケーションが増えたとしても、社会全体のスマホ問題を考えると“奨励金を出すからスマホを使うな”という方法は根本的な解決にならないことは明白だ。

ガラケーでも自転車に乗りながらメールを打つことが問題化していた。若者の間ではメールが来たらすぐに返信をしなければ仲間はずれにされるもといったケースもあった。「スマホに責任はない」というコメントは、そうした根本的な問題をズバリ指摘しているように思える。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)