writer : yonashi

【ドラマの女王】“安達祐実の独壇場”に太刀打ちできない? 菜々緒。『主に泣いてます』。

フジテレビ系で放送されている土ドラ『主に泣いてます』に主演しているモデルの菜々緒。大抜擢かと思いきや、これがなんともパッとしない状況が続いているのだ。そんな菜々緒を尻目に圧倒的な存在感を放っているのが元・天才子役のあの女優である。

「美人過ぎて幸せになれない」人生を歩む紺野泉(菜々緒)は、その美貌のせいでまともな生活ができない。画家であり美大教授の青山仁(風間トオル)の愛人兼モデルとして生活しているが、収入はゼロ。向島一の料亭の娘である中学生の緑川つね(草刈麻有)に助けてもらいながら生活している。東村アキコの同名漫画が原作だ。

第3話で衝撃が走る。青山の本妻・由紀子(安達祐実)との直接対決である。これまで、一瞬しか登場しなかった由紀子の正体が明らかになる。青山の愛人である泉のことをよく思っていないものの、泉がヌードモデルをした絵で生活できている現状に複雑な思いを抱いている由紀子。外では必死に聞き分けのよい妻を演じている。その反動からか少し情緒不安定なところがある。そんな由紀子を安達がこれでもかと演じ切っていた。ちゃんとこのドラマの特性のコメディ要素を入れていながらも、由紀子のめまぐるしい起伏の激しさも再現。その見事な切り替えに背筋がぞっとするほど圧倒された。第3話はほとんど菜々緒と安達の二人のシーンだったのだが、セリフも安達ばかりで菜々緒が入り込む隙を与えない迫力。まさに彼女の独壇場だった。そういう設定とはいえ、さすが元・天才子役である。

ドラマ内で唯一、安達に引けを取らなかったのが、泉の友人である中学生コンビ・つねと小桃宣親(加藤諒)の2人だろうか。見た目のインパクトとキャラクターが強すぎるだけかもしれないが、存在感は泉よりある。なかでも乙女系な小桃宣親役の加藤の見た目がいかにもと分かりやすいところがいい。番組サイトでは原作のキャラクターと並んで掲載されているのだが、忠実すぎて笑えてしまう。

毎回、泉の過去などを違う人物の目線から説明するなど内容的に重複するところが多いため、あまり前に進んでいる感じがしない。どうやら泉をとりまく事件で向島史上最悪の事件があったようだ。その事件の謎が今後、このドラマを左右するのか、それとも関係なく続くのか、着地点が読めないのだが、それはそれでもいいような気がするから不思議なドラマだ。たまにギャグの部分がハイスピードすぎて、世代によっては視聴者を置き去りにしてしまうところもあるが、ギャグが突き抜けているので気持ちがいいところも魅力的だ。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)