ヒップホップ界の巨漢、そして兄貴分として若手からの信頼を集めていたベテラン・ミュージシャン、“Heavy D”ことドワイト・マイヤーズがたった44歳にして急逝してから1か月半が過ぎ、その死因が明らかになった。
Heavy Dは11月8日午後、ロサンゼルスの自宅アパートで突然体調不良を訴え、近隣住民の911コールによって「シーダーズ・サイナイ・メディカルセンター」に搬送されたものの、1時間後に死亡した。遺体はLA郡検視局に送られ、その結果死因が“エコノミー症候群”の名でも知られる「肺塞栓症」であったことを、『NYデイリーニューズ』紙が伝えている。
実はHeavy D、ウェールズで開かれた「マイケル・ジャクソン・トリビュート・コンサート」に出演し、ロンドンから12時間近いフライトでLAに戻って来た所であったという。飛行機(まれには電車やバスなどでも)に、同じ姿勢で長時間座り続けることにより発生する例がままあるこの病気、じっとしたままの下肢の静脈に血栓が生じ、やがてそれが肺までたどりついて「肺塞栓症」となり、突然の息切れや激しい胸の痛み、めまい、失神などを引き起こすが、最悪の場合は命を奪われることもある。
彼の遺族は、そのフライトが「肺塞栓症」の直接の原因であるといった断定は出来ないとした上で、MTVのマイクに「彼は健康診断をきちんと受けていましたし、心身共に常に健康でした」と話し、ガックリと肩を落としている。汚い卑語を嫌い、美しいメロディを好み、純粋な愛をテーマにしたそのラップは、彼の人柄そのままであったそうだ。
ところで、エコノミー症候群とはいうものの、実際にはファーストやビジネスクラスでも「肺塞栓症」が発生していることは、ご承知の通りである。特にもHeavy Dのような巨漢は、可動範囲の狭さとそもそもの体重が静脈にもたらす強い圧迫が危険因子となってしまう。極度に乾燥した機内の環境もよくない。ロングフライトではとにかく水分補給と足の運動をこまめに行う、これに勝る予防法はないようだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)