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富士通 グローバル拠点間における協調作業を可能にする次世代ものづくり環境「エンジニアリングクラウド」を提供

大規模な設計製造の現場は、複数拠点しかもグローバルにわたる作業環境においてCADや解析ソフトを駆使して制作した設計図などを交換しながら協調作業を進めなければならない。
そこでクラウドを活用したデータ連携の必要性が高まっているところである。
今般、富士通では、同社のデータセンターからクラウドサービスとして製造業に関わるサービス群を提供する次世代ものづくり環境「エンジニアリングクラウド」のコンセプトを確立。
これに基づき、2011年10月より順次、サービスを提供開始する。

本サービスでは、富士通アドバンストテクノロジが実用化に成功した高速画像圧縮技術「RVEC(レベック)」を採用したことにより、設計データなどの大量なデータやアプリケーションなどをクラウド基盤に集約することが可能となった。

これにより、ユーザーはシステムを自前で構築することなく、時間や場所、パソコンなどの端末環境にとらわれずにサービスを利用でき、大幅な製造コスト削減と開発期間短縮を実現できる。

製造業で使用されるCADや解析ソフトの運用には、極めて高性能のコンピューターを用意する必要があり、またそこで生成されるデータ量も巨大になるため、いかにして複数拠点間での協調作業を可能にするかが大きな課題となっていた。

富士通の「エンジニアリングクラウド」は、ユーザーの製品開発環境に合わせて、日本の製造業が求めるさまざまなソリューションを提供する「エンジニアリングクラウド/SaaS」、高速シンクライアント環境を提供する「エンジニアリングクラウド/PaaS」の2つのサービスで構成される。

「エンジニアリングクラウド/SaaS」では、CADや解析、PDM(製品データ管理)などのアプリケーションをSaaSとして提供する。

これに加え、富士通グループの「ものづくり」の現場で利用している製品開発ノウハウ・手法をクラウド基盤に統合し、「富士通ものづくりノウハウサービス」として提供する。

さらに、遠隔地での設計レビューや在宅勤務などの新しい協業スタイルやワークスタイル、クラウドだからこそ可能になった蓄積データの分析など、新しい価値のサービスを提供する。

「エンジニアリングクラウド/PaaS」では、処理リソースをクラウド側に集約し、拠点の端末は処理結果画面だけを受け取る高速なシンクライアント環境を提供する。

これらのサービスの導入により、ユーザー企業は拠点ごとに高速なPC/ワークステーションを用意する必要がなくなるとともに、協調作業環境の構築も容易となることで、コストメリットを享受できる。

同社では、「エンジニアリングクラウド」を提供することによって、開発や製造の現場がより創造的で新しい価値創出の場となるよう貢献していくとしている。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)