映画『プラダを着た悪魔』や『ガリバー旅行記』、最近では俳優マット・デイモンと共演の『アジャストメント』などで好演しているイギリス出身の女優エミリー・ブラント(28)は、子供時代にひどい吃音に悩んでおり、演じることで克服。その結果女優になったという過去を明らかにした。
ハリウッド映画出演で繊細なイギリス英語を話し、常にキラリと光る演技を見せているブラント。彼女が2年前から米NPO団体「American Institute for Stuttering」の理事メンバーを務めていることは、意外と知られていない。その理由は彼女が7歳から14歳までのころに吃音に悩んでいたからで、ブラントは女優業の傍ら、同団体のアクティブなメンバーとして、吃音に悩む人々への啓蒙活動を続けているという。
7日、ニューヨークで開かれた同団体のチャリティイベント『5th Annual Benefit Gala』に出席し司会を務めた彼女。『New York Magazine』誌に自身の吃音について、「最もひどかったのは12歳のころで、そのころはあまり喋らないでいた。」と明かした。克服したのは、学校で素晴らしい男性の先生に出会えたからだという。
「先生が、全く興味のなかったクラス演劇に参加するよう奨励してくれた。“喋りづらいなら、面白い声やアクセントのついた声とか、自分とは違う声で喋ってみたらどうだ? これならうまくいくさ”と背中を押してくれて、本当に流暢に喋れるようになったの。一度喋れるようになると、どんなにアクセントのついた声であっても、自分の声を聞いて自信がついて、何度でもできると思えるようになった。」このクラス演劇をきっかけに、ブラントは人前で喋ることにも躊躇しないようになり、現在のような立派な女優に成長したのだ。
吃音といえば、イギリス王ジョージ6世の吃音症克服を克明に描き、主演男優賞受賞の俳優コリン・ファースをはじめとして、前回の米アカデミー賞レースを総ナメにした映画『英国王のスピーチ』が記憶に新しい。「あの映画は本当に素晴らしかった。これまで見た中で、最も正確に吃音を描いていたと思う。」と絶賛。「コリン・ファースと話したわ。彼のあのためらいの演技、声帯閉鎖シンドロームの演技は、本物の吃音症患者の特徴を本当にうまく捉えていた。彼の役柄の素晴らしかったところは、吃音に“顔”を与えてくれたこと、世界中の人に、吃音に悩む人の苦境について気づかせてくれたことね。」
吃音症だったころは、学校のクラスの前で詩を朗読するように言われただけで、恐れおののいていたというブラントだが、今や映画女優として、常に何百人もの人前で演技をするまでに成長した訳だから、人生とはわからないものである。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)