仏パリで1997年8月31日に起きた、英国のダイアナ元妃と当時の恋人を乗せたベンツの壮絶な自動車事故。誰からも愛され、大変美しいことで知られた元妃の最期を捉えた写真が、フランス・パリで行われているカンヌ国際映画祭の出品作品『Unlawful Killing(原題)』で公開される。ただし「見せものじゃない!」と反発の声も強い。
チャールズ皇太子と1981年に結婚し、二人の王子に恵まれたが、皇太子は以前からの交際相手カミラ・パーカー・ボウルズ(2005年に再婚)との密会を続け、ついに1996年に離婚したダイアナ。
王室の職員と恋仲になったりもしたが、エジプト系の大富豪ドディ・アルファイド氏との熱愛は順調に進んだ。ディナーを終えてレストランを出てきたアルファイド氏とダイアナを乗せたベンツは、しかしパパラッチに追いかけられ、運転手は一般道路を160キロものスピードで走行。
ジャンクションの直前で白いフィアットの合流があり、それをよけようとしてハンドル操作が狂うと、次々とトンネルの壁に激突して車体は大破。彼の子を身ごもりついに婚約かと騒がれた矢先に、ダイアナはたった36歳の若さにして命を落としてしまった。
ダイアナはそのしばらく前に、友人に「事故死を装って、夫(チャールズ)に殺されるかも知れない」などと手紙を書いており、海外ではイギリス情報局秘密情報部(MI6)による暗殺という陰謀説が広まり、関連書籍もいくつも出版された。
だが13日にカンヌ映画祭で公開される、キース・アレン氏による映画『Unlawful Killing』はキツイ。ドディ・アルファイド氏の父で実業家のモハメド・アルファイド氏による資料提供と協力を得て、あの事故までの経緯を大変リアルに仕上げたというのだ。
彼らの狙いは「あれは計画的殺人であり、6か月の死因審問もイギリス政府によるでっち上げ」と改めて訴えることだという。だがダイアナの長男ウィリアム王子がめでたくも結婚したこのタイミングに、なぜまたそんな暗い話題をと眉をひそめる人も多い。
また足をはさまれ体も動けず、“Leave me alone.” と言いながら苦痛に顔をゆがめていたダイアナに救助の手も差し伸べず、その最期を撮影し続けたパパラッチ。彼女の忘れ形見である若い王子二人は今、その映画の公開に恐らくは心を痛めている。そして約8割の英国市民は「そのような悲惨な写真は見たくない、モラルが欠けている」と反発しており、そのためアレン氏は「英国では上映しない」とも語っている。
ちなみに、先日パキスタンで成功したというオサマ・ビン・ラディン容疑者殺害および水葬について、米国市民の約6割が、“是非その写真をみたい。このままでは本当に死んだのか疑惑が残る” と写真非公開を決めた政府に不満を感じるとしている。
画像:unlawfulkilling.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)