writer : testjournalist

【ドラマの女王】同じ演技しかできない? キムタク化する佐藤隆太。『熱中時代』。

ドラマ『相棒』シリーズのヒットで若い世代からの人気も獲得し再ブレイクした水谷豊の代表作『熱中時代』(日本テレビ系)が4月9日に佐藤隆太を迎え30年振りに復活した。

主人公の南雲大地(佐藤)は小学生の時、北野広大(水谷)のクラスになり教師を目指す元動物園の飼育員。そんな彼を、同じく北野を先輩として尊敬する若葉台小学校の校長の白川龍太郎(船越英一郎)が、3年2組の担任として受け入れるところから始まる。憧れの教員生活に胸を躍らせる南雲だが、同じ3年生担任の朝比奈遥(松下奈緒)に「生徒たちに足元すくわれる」と非難されてしまう。

『ROOKIES』でも教師を演じた佐藤。普段から元気で明るい太陽のようなイメージの彼に小学生相手の担任はピッタリだ。だが、今回はその彼のイメージがあだとなってしまったようだ。

生徒と正面から向き合い、夢中になると一直線に奮闘する南雲の様子はドラマで生徒たちには「一生懸命さが伝わる」とされたが、見ているこちらとしては騒がしいだけの印象だった。

生徒以上に声を張り上げ、友達のように接する。それが悪いわけではないのだが、佐藤の場合少しやりすぎだったように感じる。小学生が相手だからなのか、生徒と同じ目線でいることを意識しすぎてか教師というより近所の騒がしいお兄ちゃんのようだ。同じような教師が活躍するドラマは過去にもたくさんあるのだが、相手が高校生か小学生かでこんなにも印象が変わってしまうものなのか。

まるで「佐藤隆太の魅力をここに集約しました。これが佐藤隆太なんです。そんな彼を見て下さい。」と言わんばかりだ。このままでは、彼も同じような演技しか出来ない「キムタク化」してしまう。そんな不安だけが残った。

佐藤の笑顔は見ている側を元気にし安心させる。バラエティー番組に出演している時もそれは変わらない。しかしドラマを見ても、そのPRで出演するバラエティー番組を見ても何も変わらないのなら飽きてしまう。実際ドラマの終盤に佐藤と松下が出演している栄養ドリンク剤のCMがドラマ連動バージョンと通常の両方流れたのだが「うまく使ったな」と思うと同時に、食傷気味すら感じるのだ。

「普段はこうなのに、ドラマではこんな顔も見せるんだ」。このギャップがなくなってしまったら俳優の魅力は半減する。彼の演技は全て同じなどと思われるような俳優にはならないでもらいたい。佐藤の元気を与え、安心させる笑顔は他の俳優をはじめタレントにもないものだ。自らのイメージに自滅することだけは充分注意してもらいたい。

そんな心配をよそにSPドラマは謎の転校生がやって来るという、いかにも次回制作が決定していると思わせる終わり方をしてしまった。ぜひとも佐藤には『熱中時代』に熱中しすぎず、クールダウンした演技を見せる機会があることを願うばかりである。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)