映画『ブラック・スワン』で本物のバレリーナさながらのダンスを披露し、アカデミー賞を受賞した女優ナタリー・ポートマン(29)に、思わぬ横やりが入った。映画でナタリーの「ボディダブル」として踊ったバレリーナが「ナタリーが本当に踊ったシーンは5%だけ。」と暴露したのだ。
映画『ブラック・スワン』では、ナタリーが大幅減量をし、死ぬような思いまでして役作りをした迫真のバレエの演技が高く評価され、オスカー主演女優賞を受賞した。撮影現場で、ナタリーの「ボディダブル」つまりダンス部分の代役を務めたのは、ニューヨークにある「アメリカン・バレエ・シアター」所属のプロバレリーナ、サラ・レーンさん(27=左下顔写真)だ。
このほど彼女が『Entertainment Weekly誌』に「映画のフルボディショット中、ナタリーが踊っているのは5%だけで、後は実際自分が踊った。」という爆弾発言をし、大きな波紋を呼んでいる。映画に出てくる難しいバレエの足さばきを踊ったのは実際は95%がサラさんで、映画では編集段階でナタリーの顔をデジタル合成しただけだと言うのだ。映画を見て感動した人を、ちょっとがっかりさせるようなショッキングな発言だ。
ことの発端は今月初め、ダンス業界誌ブログに「ナタリーがバレリーナに“変身”できたのはデジタル合成のおかげ」という内容の記事が掲載され、『ブラック・スワン』の未編集ダンスシーンのビデオリンクが貼られたこと。後にこのビデオは映画の制作側により削除されたが、話題を呼び23日には映画の振り付けを担当した、ナタリーの婚約者のベンジャミン・ミルピエ(33)が、『ロサンゼルス・タイムズ紙』に「まるでナタリーのボディダブルが沢山の仕事をしたかのように書いた記事が出たようだが、映画のダンスのうち85%は実際にナタリーがやった。」と弁明するに至った。
サラさんはこれを受けて胸のうちを明かしたもので、自分が行った仕事が「エキストラ」としかクレジットされなかったことが不満であること、また映画のプロデューサーから、口頭で「ボディダブル」の存在について口外しないよう注意されたことなどを暴露。「映画の製作陣は、ただオスカーを狙うためだけに、ナタリーがダンスの天才で、1年半練習を積んだだけでバレリーナになりきった、と人々に思い込ませたかっただけ。」「映画スターだからといって自分が22年やっているバレリーナという職業に、ナタリーが1年半くらいでなれたら、侮辱的。」「プロから見たらナタリーのダンスはアマチュアの域を出ない。トウシューズで踊れないし、体もちゃんと動かせなくて固い。」などと本音を次々とぶちまけた。
ナタリーは映画公開時のインタビューなどで「ボディダブル」の存在を認めてはいたが、サラさんの名前までは言及せず、オスカー受賞スピーチでも彼女の名前に触れなかった。サラさん本人は、ナタリーの名声が妬ましくて、このような不満の声を上げたわけではないと言う。「ナタリーはアメージングな女優よ。今回私の名前が出なかったのも、個人的な理由からじゃなくて、政治的な理由からよね。でも私がクレジットをもらえなかったのは不運だわ。」
これを受けて、映画の配給会社のフォックス・サーチライトでは「サラが難しいダンスシーンをカバーしてくれたことは幸運で、彼女のハードワークをただ賞賛するのみ。しかし仕上がった映画では、ナタリー自身がほとんどのダンスを手がけたことは確か。」と双方を讃える中立的な声明文を出した。
ダーレン・アロノフスキー監督もこの騒動を受けてメディアの取材に応じ、「編集マンに数えさせたら映画の139のダンスシーンのうち、111がナタリー自身のもので、サラは28シーンのみ。つまりナタリーのダンスは80%ということになる。あと、ナタリーはトウシューズを履いてダンスしているよ。」と、ナタリーの弁護に回った。
一体真相はどういうことなのか? サラさんは「自分が有名になりたいから今回の件を主張しているのではなく、バレリーナがなかなか実力を認められないのが悔しい。」としているが、女性のジェラシーは甘く見るとコワいもの。ナタリーも思わぬところでオスカー受賞作にケチをつけられ「たまったものではない」と思っていることだろう。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)