子犬をダンボール箱に詰め、米中西部のミネソタ州ミネアポリスから南部のジョージア州アトランタまで小包として郵便で送ろうとした女が、内容物に気づいた郵便局側の通報で、警察に御用となった。子犬は動物保護施設に引き取られ元気にしているが、女は支払った郵便代22ドルと子犬を返せと訴えている。(写真=2日米ミネソタ・スター・トリビューン紙電子版より)
「腐りやすいものや、液体、危険物は入っていませんね?」小包を郵送するとき、米国の郵便局ではルーティーンでこのような質問をするが、ステイシー・チャンピオン(39)はこう答えた。「いいえ。でも気をつけて取り扱ってください。こわれものが入っているので。」
それもそのはず、プライオリティ(優先)・メールで郵送しようとした箱には、子犬が入っていた!郵便局のカウンターでは、箱が動き出し、中からハアハアと喘ぐ声がもれてくることを不審に思った職員が、許可を得てテープで厳重に封じられた箱を開封すると、中からは黒いプードルとシュナウザーの交配種の犬が現れた。喉が渇いていたらしく、嬉しそうに水を飲んだという。
この犬「ゲス(Guess)」は4ヵ月の子犬で、その場で動物保護施設に引き取られた。箱の外側には「あなたが11歳の誕生日にほしがっていたものよ。」とメッセージが書いてあり、首輪には小額の紙幣がくくりつけてあった。つまり、子犬はチャンピオンがアトランタに住む息子(11)にプレゼントとして送ろうとしていたことが判明。箱が動き出しても「中にはおもちゃのロボットが入っているの」と言い張っていたチャンピオンも嘘を認めたため、警察から動物虐待などの容疑に問われた。
ミネアポリス警察の担当者らも、地元紙の取材に応じ「正気の沙汰じゃない」とため息を漏らしているこの事件。箱には空気穴が開いていたものの、上からテープが貼ってあるためほぼ密封状態で意味はなし。プライオリティ・メールでの郵送は、ミネソタからジョージアまで約2200キロメートルの距離を飛行機移動することになり、日数も最低丸2日はかかる。また貨物飛行機の中は、4℃まで冷えこみ食べ物や飲み物もない。もしもこの子犬が本当に郵送されていたら、「喜んで箱を開けた子供が、死んだ子犬を見つけることになっていただろう。」と警察側は話している。
チャンピオンは、郵便局に対し支払った22ドルの郵便代を返金してほしいと訴えにいくが、却下された。その後、市に対して子犬を返してもらえるよう訴えるヒアリングに出席したチャンピオンは「郵便局には何が送っていいもので、何が送ってはいけないものか、書いてなかったのよ!ただ息子を驚かせたかっただけなんです。」と主張。市の担当者は「あなたは正しいことをやってると思っていたなら、それは間違いです。」と彼女の主張を冷たく突き放した。子犬の「ゲス」はこのまま行けば、動物保護施設から別の人にもらわれていくことになりそうだという。
息子のためにと、母の一途な思いが引き起こした出来事なのだろう。しかしこの常識のなさはどうにかならなかったのか、と首をかしげるような事件である。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)