カリフォルニア州中部のトゥーレアリ郡で、闘鶏を見物中の男性が、闘っていた雄鶏の脚に”刺されて”死亡した。このニワトリの脚には、鋭いカミソリの刃が取り付けられていて、現場では不法の賭け闘鶏が行われていた様子だ。
この不運な男性はホセ・ルイス・オチョアさん、35歳。ホセさんは先月末30日、闘鶏を見物中に、飛んできた雄鶏を捕まえようとしたところ、ニワトリの脚に取り付けられたカミソリの刃が、右ふくらはぎの大動脈に突き刺さってしまった。
この事故と時を前後して、「賭け闘鶏が行われている」という匿名の情報提供を受け、隣接するカーン郡の保安官達が現場に到着。しかし闘鶏場に踏み込んだ保安官達が発見したのは、闘鶏で死んだと思われる5羽のニワトリに加え、脚から血を流しているホセさんだった。ホセさんはその場ですぐに病院に搬送されたが、2時間後に死亡した。
ホセさんの検死の結果は「鋭い刃物による刺傷」。郡保安官オフィスのマーチン・キング巡査部長は「こんな事件は見たことがない。適切な医療処置をとらなければ失血死することくらい、わかっていただろうに、不運としかいいようがない」とメディアに語っている。どうやら闘鶏をしていたことが当局にばれるのを恐れ、病院に行くのが遅れたため致命傷になったようだ。
闘鶏(チキンファイト、もしくはコックファイト)は賭けスポーツとして知られていて、このために特別に飼育された雄鶏を使い、どちらかが死ぬか動けなくなるまで戦わせるというもの。ニワトリにはステロイドなどの薬物が与えられているケースも多く、その残酷さが批判を浴びている。
闘鶏は、主催することも参加することも米国では違法だが、州によって取り締まる法律の温度差がある。重罪とされているオレゴン、アリゾナ、ニューメキシコなどの州に比べ、カリフォルニア州では一度の参加なら軽罪ですむことから、同州では法の目をくぐり、闘鶏を行う人が後を絶たないという。死亡したホセさんもその1人だったようで、自身で闘鶏用の雄鶏を飼育しファイティング・トレーニングを行っていたことから、昨年有罪判決を受けて370ドルの罰金を支払っていた。
ニワトリにとって生きるか死ぬかのチキンファイト、それが人間の命も奪ってしまった非常に珍しい事件である。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)