(ジャンル:クラシック)
クラシック界における2011年の主要なアニバーサリー作曲家は、リスト生誕200年とマーラー没後100年であろう。ことにマーラーについては昨年2010年が生誕150年だったため、2年連続マーラーイヤーとなる。そこでマーラーの入門盤としてオススメなのが、テンシュテット指揮による交響曲第2番ハ短調「復活」のライブ録音である。
マーラーの交響曲の中で、特に入門向けと思われる作品が、交響曲第2番ハ短調「復活」(以下「復活」)と交響曲第5番嬰ハ短調である。
このうち、「復活」は、ベートーヴェン以来の交響曲の伝統である「苦悩から喜びへ」というストーリーが圧倒的なスケールで描かれており、終楽章におけるカタルシスも壮大である。
また、終楽章の合唱で歌われる復活賛歌は、西欧であるからキリスト教の文脈で書かれているものの、これをもって全人類的な永遠の生命への希望として聴くこともできるのも良い。
短い第4楽章の頃から神聖な調べがただよい始め、そのまま続く第5楽章で栄光に満ちた復活が表現される。
この名曲の数ある録音の中で、オススメなのがクラウス・テンシュテット指揮ロンドンフィルハーモニー管弦楽団による1989年のライブ録音である。
尋常ではない遅いテンポを取りながら、少しも弛緩することのない演奏。合唱、独唱、バンダ(舞台外の別働隊楽器)やオルガンなどがもたらす立体感を生々しく捉えた録音も素晴らしい。
オンマイク気味の録音なので、強奏部における音響の炸裂具合も壮絶だ。聴くのにかなりの体力が必要な演奏かもしれない。
作曲者であるマーラーは、この作品についての解題を残しているが、それに縛られる必要はないだろう。
全ての悩みや苦しみは終極において必ず報われることを、この作品は音楽自らに語らしめている。グランドフィナーレの圧倒的な高揚感と浄福感は、古今の交響曲の中でも最上のものである。
(収録曲)
マーラー:交響曲第2番 ハ短調「復活」
ディスク:1
1. 第1楽章
ディスク:2
1. 第2楽章
2. 第3楽章
3. 第4楽章
4. 第5楽章
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)