writer : techinsight

【名盤クロニクル】ご来光気分が味わえる カラヤン指揮 ブルックナー「交響曲第7番」

(ジャンル:クラシック)

新年の縁起物はいろいろあるが、ご来光・初日の出だけはなかなか拝めない。
登山家はご来光を拝するのを夢見て山に登るが、天候に恵まれなければ残念なこととなる。
都市部で過ごす人であれば、高層マンション上階に住んでいなければ拝むことができない。そこで音楽でご来光気分が確実に味わえる曲ということで、ブルックナーの交響曲第7番の名盤を紹介したい。

ブルックナーの交響曲のうち、よく演奏されるのが第4番「ロマンティック」、第7番、第8番そして第9番の4曲だ。

この中で新年に似合うものを選ぶとなると、深遠かつ厳格な第8番と第9番はやや重すぎるので別の機会に譲って、第7番の第1楽章が実にご来光にふさわしい楽想だということでセレクトした次第である。

ところで、ブルックナーの名盤を選ぶのは非常に難しい。
最終的には好みの問題になってくるのだが、クラシック初心者への配慮も考えると次のような条件を満たすものが良いかと思われる。

○録音が良好であること
○演奏がウィーン・フィルまたはベルリン・フィルであること

ブルックナーの神髄は無骨さにあるという意見もあるが、はじめてクラシック音楽またはブルックナーを聴くという人にとってはマイナスに作用する。

また、いかに名演であってもクナッパーツブッシュのような古い録音では、ブルックナーの素晴らしさは十分には味わえない。

そこで、名盤として選んだのが、カラヤン最晩年の録音となった、ウィーン・フィルによる演奏である。

カラヤンの流麗かつ明快な演奏を表層的だとして嫌うリスナーもいるが、もちろん好みの問題とは言え、難しそうな音楽をわかりやすく演奏した功績は多大である。

また、オルガントーンと賞賛されるウィーン・フィルの美しい響きが最高度に発揮された演奏として、広く推奨したい名盤である。

異論は多々あろうかと思われるので、世評の高い名盤として、朝比奈隆の「聖フローリアンのブルックナー」、シューリヒトやヴァントなどの名録音があることを付記しておきたい。

(収録曲)
1. 交響曲 第7番 ホ長調 第1楽章:Allegro moderato
2. 交響曲 第7番 ホ長調 第2楽章:Adagio.Sehr feierlich und sehr langsam
3. 交響曲 第7番 ホ長調 第3楽章:Scherzo.Sehr schnell
4. 交響曲 第7番 ホ長調 第4楽章:Finale.Bewegt,doch nicht schnell
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)