セキュリティ確保において、パスワードとIDによる認証方式は安全にはほど遠いのが実態であるが、最も安価なコストで導入できるというメリットもあるので、当面、安全確保のためにはパスワードを推測されにくい複雑なものにするしかない。
一方で、複雑なパスワードは入力が面倒で覚えきれないというデメリットもある。これを解消するのがパスワード管理/自動ログインツールである。
現在、Windows/Mac/iPhoneという3つのプラットフォームに共通で使えるツールが1Passwordである。
職場でWindowsを使用、家庭でMacを使用、そして外出時のウェブ閲覧はiPhoneを使用という環境を想定し、この3つの環境で登録されたパスワードファイルを、オンラインストレージDropboxを使って共有する方法を考えてみる。
ここでいう「共有」は、一つのパスワードを複数のサイトで使い回しするという意味ではない。
サイトごとに設定した複雑なパスワードを1Passwordに登録し、どのデバイスからでもマスターパスワードの入力だけで自動ログインするための「共有」である。
なお、3つのデバイスにおけるマスターパスワードは、安全のために別々にしておいたほうが良いだろう。3つのパスワードだけなら記憶しておくことは容易である。
まずは、1Password for Macまたはfor Windowsをインストールする。
Dropboxが未導入の場合は、これも各デバイスにインストールしておく。
ブラウザのアドオンとしてもインストールされるので、ブラウザからサイトにログインするときに、入力したIDとパスワードを自動的に記録してくれる。
サイトごとに優先順位を付け、特にネットバンキングやSNSなどのパスワードを優先して設定する。
次に、通常は自分のホームフォルダに置かれている1Passwordフォルダを、Dropboxフォルダに置く。
そして、Preferenceメニューを開き、パスワードファイルへのパスを変更する。(下図参照)
他の環境(WindowsまたはMac)も同様に処理する。
最後に、iPhone用の1Passwordにおいては、オンラインストレージDropboxを利用したパスワード共有を前提として設計されている。
よって、初期設定においてDropboxを利用するように指定すれば、自動的にパスワードファイルを探してセットしてくれるので簡単だ。
これで、会社でも家でも外出先でも、面倒なパスワード入力の手間から解放される。特に入力しづらいiPhoneでの快適さは格別だ。
有料ソフトであるが、導入して損はないツールである。なお、Windows版は現在パブリックベータ版なので、正式リリースまでは試験的に使用することが推奨される。
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)