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【アリ?ナシ?】不景気なのになぜ増え続ける?ペット関連支出が過去最高額に。その理由と今後の展望に迫る。

ペットにお金をかける人が増えている。昨年度のペット関連支出の平均金額は前年比4.6%増の1万8323円となり、過去最高となったことがわかった。これは総務省が19日に発表した2009年度の家計調査により明らかになったもので、比較可能な1990年以降で最も高い金額となっている。不景気で消費者の財布の紐が堅くなる一方と言われる今、なぜペット関連市場は拡大を続けているのか。その理由と、今後の展望について専門家に聞いた。


今回話をうかがったのはネイチャーズロジックペットフードの販売を手がける株式会社LINKI’N FELLOWSの岩谷仁氏だ。岩谷氏はまず、今回の報道について「ペットの飼育頭数自体がうなぎのぼりに増えているので、今回の報道も当然の結果だろうと思う」と率直な感想を語った。ペット全般に関する統計はわが国には存在しないが、年々増えているのは確かだ。ペットフード協会の推計によれば、今や犬猫の飼育頭数は2700万頭を超えると言われており、20歳以下の子どもの数よりも多くなっている。

その上で、ペット関連市場が拡大し続ける理由について岩谷氏は「飼育頭数の増加に加えて、『ペット』というより一人前の『家族』として大切にしていることや、市場全体のサービスが多様化していることが原因では」と分析する。

例えば犬などのペットサロンでは、ただ洗って戻すだけでなく、泥パックも行うなど付加サービスを行っているところも増えてきた。また、ペットフードや衣服類などもバリエーションが増えている。

やはり、今後もペット関連市場の拡大は続きそうだ。では、今後どのような商品・サービスが人気を集めるのか。特にペットフードは人間の食事以上に様々な種類が店頭に並ぶようになり、どれを選んだら良いのか悩んでしまうほどだ。

岩谷氏によれば、元々ペットフードが開発された当初は利便性だけを重視したものであったが、その後合成保存料や着色料などの添加物を使用しない「ナチュラルフード」が登場。2007年にアメリカで中国産原材料を含むペットフードを食べた犬猫数千匹が腎臓障害を起こして死亡する事件が起きて以来、消費者はより一層ペットフードについても安全性を重視して選ぶようになった。家族の食事としての視点で、ふさわしい品質・安全性・価格の製品を選ぶ消費者が増えていると言えよう。

しかし、まだ市販のペットフードには合成ビタミン、ミネラルなどが人工的に含有されているものがほとんどであるため、完全な「ナチュラルフード」の実現には至っていないという。そこで岩谷氏が紹介してくれたのは、自社が輸入・代理店販売を行うネイチャーズロジックペットフードだ。米・ネブラスカ州生まれのこのペットフードは、合成保存料や着色料はもちろんのこと、合成ビタミン、ミネラルも化学合成成分を一切使用せず、天然の食品から製造しているのが特長だ。

既成のペットフードが合成ビタミンやミネラルを使用する理由は、「数合わせ」だ。前出の悲劇的な事件を受けて、わが国でも2009年に「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」が施行され、ペットフードにも明確な規格を設けることになった。そのため、「成犬用は何が何グラム必要」といった基準値が設定され、その基準を満たすために企業側も合成ビタミンなどを使用している。食品からの抽出はコストがかかるため、化学合成成分の使用が一般的となっているのだ。

しかし、合成ビタミン、ミネラルは過剰摂取になった場合のリスクが高い。愛犬、愛猫が病気になるリスクを少しでも減らすためには、自然界の食事に可能な限り近づけることが望ましいという。ちなみに岩谷氏によると、100%無添加のドライフードは全世界的に見ても一定のバランスを揃えているものではネイチャーズロジックペットフードだけではないかという。

先月末よりAmazon.co.jpにペット用品ストアがオープンした。これに合わせてアマゾンジャパンでは自社社員を対象にペット休暇を導入した。ペットの予防接種や急病などの事情に合わせて休暇を申請・取得できるというもので、育児休暇に近い形だ。ちなみにアマゾンジャパンでは本社に勤める社員の3割がペットを飼っているという。

わが子に少しでもいいものを食べさせたいという親心が、ペット市場でも主流の考え方になっている。特に、口に入るものについて安全性を意識するのは当然であり、「多少高くても安全なものを」という購買傾向は今後も続いていくだろう。尚、ネイチャーズロジックペットフードはドライフードや缶詰など用途に応じた種類が様々あり、全国の販売やインターネット通販で購入できる。

(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)