グループウェアを主力製品とするサイボウズは、2010年8月2日から、自社製品であるグループウェアを活用した在宅勤務制度の試験導入を開始した。
対象は社外からのリモート接続承認を得ている全社員とし、在宅勤務可能日数は原則ひと月に4日間までとなる。
ワークライフバランスの推進にとって、また出産休暇・育児休暇からの仕事復帰支援として、在宅勤務は極めて有効と考えられており、特に新型インフルエンザが流行した2009年には、パンデミック時のBCP(業務継続計画)の方策として、シンクライアントやリモート接続のグループウェア製品が多数発表された。
今回同社が、試験導入に踏み切った理由は、第一には雇用機会の創出である。
個別の事情により、オフィスで勤務できない人に就業機会を提供することを目的としている。特に、持っている能力を充分に発揮するために自宅での勤務を望む障がい者などを想定している。
第二には、オフィス以外の就業場所を提供することにより、個人の業務効率を向上させることを目的としている。
自律的に仕事ができ、かつ業務上に支障が無ければ誰でも利用できる。通勤時間の削減や働く場所の選択肢が増えることが、生産性や業務効率の向上とつながる可能性を考えている。
第三には、出社はできるけれども自宅で働きたい人の支援をする。おもに仕事と育児・介護を両立させようと考えている社員や出産を控えた社員など、家庭やライフイベント、その他の理由でライフ重視の働き方を選択している社員の利用を想定している。
在宅勤務を行う際には、自社サービスである「サイボウズ リモートサービス」を活用する。
「サイボウズ リモートサービス」は社内LANを守るセキュリティ環境を変えずに、外出先や自宅、携帯電話やスマートフォンから社内のサイボウズ製品へ安全にアクセスできるネットワーク環境を提供するサービスである。
現在この「リモートサービス」はサイボウズの主要製品に対応しており、自宅にいても会社と同じ環境で業務をすることを可能にする。
これまで、大企業を中心に限定された職員を対象にした在宅勤務の導入事例はあるが、今回のサイボウズのような全社員を対象とした在宅勤務は珍しく、試験導入に成否が注視されるところである。
(TechinsightJapan編集部 真田 裕一)