writer : techinsight

あなたは「お金の奴隷」になってはいないか?「お金の仕組み」知って“いる”と“いない”では天地の差。Amazonランキング1位著者を直撃

突然だが、貴方は「お金儲け」に関心があるだろうか。「あまりない」「ない」と思った人、そして「その手の話は嫌い」と思った人こそ、この記事を読んでほしい。「お金がなくても幸せと言う人に限ってお金がない。それは負け惜しみだ」と指摘するベストセラー著者にズバリ直撃した。「なぜお金のことを考えなければいけないの?」

今回話を伺ったのは、著書『28歳貯金ゼロから考えるお金のこと』が計4万部を超えるヒットを超え、新刊『11歳のバフェットが教えてくれる「経済」の授業』では、村上春樹の『1Q84』を抜いてAmazonランキング総合部門で見事1位を獲得した株式会社ファイナンシャルインディペンデンス代表取締役の田口智隆氏だ。

田口氏は1972年埼玉県生まれ。34歳の時に「お金のストレスフリー」を提唱し、株式会社ファイナンシャルインディペンデンスを設立。自身の経験を元にマネーカウンセリングや投資に関するコンサルティングを行い、現在は執筆や講演活動を中心に活動している。

お金の大切さを説く田口氏。幼少期からお金を大切にしていたのかと思いきや、20代後半まではその対極に位置する浪費家だったという。

田口:「私は学生の頃から予備校講師をしていたのですが、夜遅い仕事柄、毎晩のように飲み歩いては後輩に奢る日々を過ごしていました。また、付き合いで麻雀やパチンコ、競馬などにも手を出し…当時お金は入ったら使うもの、なかったらキャッシングで間に合わそうという認識だったので、実感もないままにどんどん借金が増えていきました。」

―――そんな田口さんが、なぜ考え方を180度転換したのでしょう?
田口:「転機が訪れたのは28歳の時です。書店で『金持ち父さん 貧乏父さん』と運命的な出会いをしました。帯に村上龍氏のコメントがついていたのですが「金で幸福を買うことはできないが、不幸を避けることはできる」と書かれていて、特に後半のセンテンスに共感を持ちました。当時、自分は好きな仕事が出来ていましたし、お金持ちになりたいという欲求もありませんでした。ただ、お金に関しては不幸を感じていましたので…」

―――「お金による不幸」とは?
田口:「例えば学生時代の友人と旅行に出かけた時、自分だけお土産を買えずにみじめな思いをしました。お金がないことで我慢をしなければいけない。こういう『お金による呪縛』から解放されたいと思いました」

―――まさに1冊の本との出会いが人生を変えたわけですね。でも、意識が変わってもそこから行動に移せる人は少ないと思うのですが…
田口:「負債を買わずに資産を買えば良い。単純にそれだけのことなので。例えば借金の原因となる酒やたばこ、ギャンブルは一切やめました。よく『一本くらいいいだろう』『正月だけは特別』と言いますが、それではダメですね。一切やらない。私の場合、そこは徹底しました。もちろんそれによって今まで飲みに行っていた仲間との付き合いはなくなるわけですが、でもそれにより今度は違う交友関係が広がりました。酒やギャンブルをやめたことで時間ができ、違うことができる。そこで私は、収入を増やすことを考えました」

こうした自身の体験をもとに、田口氏は数々の書籍を世に送り出し、「お金について考えること」の重要性を説いている。それも、精神論だけでなく、具体的な方法を幾つも提示している。例えば新刊の『11歳のバフェットが教えてくれる「経済」の授業』では、世界的大富豪であるウォーレン・バレット氏の幼少期の実話をベースに、経済に疎い人や子どもでも読みやすいようにそうした経済活動、すなわち「金儲け」の必要性とノウハウを説いている。

それでもなお、「金儲け」への抵抗を捨てきれない人も多いだろう。ある調査によると、日本の中学・高校生の83%がお金について「汚い」というイメージを持ち、80%が「お金持ち=悪い人」と考えているとのことで、本格的な経済活動に携わる前から既に日本人の多くがそうした先入観を抱いていることがわかる。この点を田口氏自身はどう考えているのか。

田口:「私はお金がなければ幸せになれないとは思っていません。でも、最低限ないと不幸になることは明らかです。離婚や子どもの教育、老人介護…あらゆる問題に必ずお金が付きまとっていることがその証です。つまり、我々にとってお金は避けて通れない問題なのです。ですから、お金ときちんと向き合わなければ、我々はお金の奴隷になってしまうのです。」

「なぜお金儲けをしなければいけないのか。儲けて、その後どうするのか」…記者は田口氏の著書を拝読し、そうした率直な疑問を抱いた。しかし、今回田口氏に直接話を伺ったことで、その疑問は「なぜ歯を磨かなければいけないのか」という疑問に等しいと感じた。少なくとも、そこから目をそらしてはいけないのだ。

田口氏は現在、こうした自身の体験と考えを一人でも多くの人に伝えるべく、日夜執筆や講演活動に明け暮れている。現在、『11歳のバフェットが教えてくれる「経済」の授業』のAmazonランキング総合部門1位獲得への返礼として、年末までに47都道府県全てを回る講演行脚を行っており、その模様は田口氏のツイッター (http://twitter.com/tomotaka_T)のタイムラインで公開されるという。また公式サイトでは動画配信なども予定されている。

「本を出し続けることで、自分のようにその一冊との出会いで自分の人生を変えられる人が一人でもいれば嬉しい」と語る田口氏。今後は学校を回って子ども達への「お金の教育」も行っていきたいとしている。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)