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(ジャンル:クラシック)
ハーモニカとアコーディオンという異色のデュオである。この2つの楽器は音色の傾向が似ているが、かもしだす風情が微妙に違っている。
こうした楽器の二重奏は非常に難しいのであるが、日本を代表するハーモニカ奏者である崎元譲とアコーディオン奏者である御喜美江は、素晴らしい音楽世界を創造した。
冒頭に演奏されるのは、バッハの諸作品である。まず誰でも知っている有名な「主よ 人の望みの喜びよ」を聴いてほしい。
アコーディオンがおなじみの三連譜を奏でるが、こうした宗教曲を演奏すると、とたんにアコーディオンがチャーチオルガン風に響くから不思議である。
そこへ主旋律をハーモニカがノスタルジックな音色で重ねていく。田舎の鄙びた教会の日曜礼拝を思わせる、ゆかしい音楽になっているのがユニークだ。
続いてバッハとヘンデルのフルートソナタの編曲版が演奏されたあと、近現代のポップな風情のある作品が演奏される。
こうした曲も大変楽しいのだが、後半に演奏されるアストル・ピアソラの作品と有名なタンゴ「ラ・クンパルシータ」が面白い。
これらの曲を演奏すると、アコーディオンがバンドネオン風味に変化するのである。このタンゴサウンドに、優しい音色のハーモニカが加わると、タンゴという音楽の持つ「激しさ」が緩和されて、リラックスして聴けるサウンドになっている。
曲の持つムードに合わせてさまざまに表情を変えるアコーディオンとハーモニカのステキなデュオアルバムである。
(収録曲)
1. カンタータ第147番~主よ,人の望みの喜びよ(バッハ/ロートン編)
2. ソナタ ト短調BWV1020(原曲:フルートとチェンバロのための)(バッハ)
3. ソナタ ト長調op.1-5(原曲:フルートと通奏低音のための)(ヘンデル)
4. 「物語」~1.金の亀を使う女/9.水売り女/8.水晶の籠/2.白い小さなろば(イベール)
5. ポエム・ハーモニカ(三宅榛名)
6. いちめん菜の花(三宅榛名)
7. 瞑想(菅原明朗)
8. Poe[‘]le[‘]gie 2(宮前知永子)
9. 忘却(ピアソラ/美野春樹編)
10. ラ・クンパルシータ(ロドリゲス/ドルンベッヒャー編)
11. 草競馬(フォスター/美野春樹編)
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)