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【名盤クロニクル】プラッソン指揮「フォーレ管弦楽選集」

(画像提供:Amazon.co.jp)

(ジャンル:クラシック)

フォーレという作曲家の名前は知らなくても、テレビ番組などで「エレガント」なムードを出すときに多く使われる、ハープとフルートの音色が美しい「シシリエンヌ」を聴けば、「ああ、この曲ね」と思い浮かぶであろう。

その他、「夢のあとに」「パヴァーヌ」なども、さまざまな楽器奏者の録音する小品集などで取り上げられることが多い。今回紹介するミッシェル・プラッソン指揮によるフォーレ管弦楽選集は、フォーレの魅力がぎっしり詰まった、素晴らしい作品集である。

まずは、有名曲「シシリエンヌ」を含む組曲「ペリアスとメリザンド」である。5曲セットの組曲だが、いずれも極めて美しく、ソプラノ独唱を伴う「メリザンドの歌」も、朝もやの庭を思わせるような淡く美しい曲である。

続いて組曲「マスクとベルガマスク」のフルセット版は非常に珍しい録音である。「マドリガル」で聴かれるしめやかな合唱、「いちばん楽しい道」の切ない叙情も素晴らしいが、ここでのハイライトは歌曲「月の光」である。

通常、ピアノ伴奏で歌われることがほとんどだが、ここではオーケストラ伴奏でバリトンが歌う。
ちなみに、ドビュッシーのピアノ曲「月の光」とは、同じ素材(詩)をモチーフにした同名異曲であるが、詩のテーマである「月明かりの下で繰り広げられる幻影の舞踏会」を絵画的に表現しきっている点で、フォーレの作品のほうがより親密である。

そして、これも有名曲「パヴァーヌ」で組曲は締めくくられる。

他の楽曲もそれぞれ、非常に美しい演奏となっている。

フォーレの世界の入り口を開こうと思うならばこのアルバムと「レクイエム」のCDがあればよいであろう。一度魅力にとりつかれたら、膨大な歌曲集と室内楽集までコレクションすることになるかもしれない。それはとても素晴らしい音楽体験になるに違いない。

(収録曲)
1. 組曲「ペレアスとメリザンド」op.80
2. 組曲「マクベスとベルガマスク」op.112
3. マドリガルop.35
4. いちばん楽しい道op.87-1
5. メヌエット
6. 月の光op.46-2
7. ガヴォット
8. パヴァーヌop.50
9. 魔神たちop.12
10. 組曲「シャイロック」op.57
11. 抒情劇「ペネロプ」前奏曲
(TechinsightJapan編集部 真田 裕一)