writer : techinsight

【名盤クロニクル】HM様式美の完成 レインボー「バビロンの城門」

(画像提供:Amazon.co.jp)

(ジャンル:ロック)

ハードロックとヘヴィメタルがどう違うかについては諸説あるが、ハードロックの進化形の一つがヘヴィメタルであることは間違いない。ルーツについては諸説あるものの、ヘヴィメタルの様式確立に決定的な影響を及ぼした記念碑的アルバムとして、レインボウの1978年の作品「バビロンの城門」を紹介したい。

ヘヴィメタルのスタイルの一つである、極端に速いテンポ、2バスドラムを継続的に鳴らして低音を強調。ギターのシンプルで速いリフ、そして悪魔崇拝、中世的なムードなどが、このアルバムには凝縮されている。特にライブアルバムで先行して知られていた楽曲「キル・ザ・キング」こそは、その典型であろう。

レインボーの中心人物である、リッチーブラックモア、ロニー・ジェイムス・ディオそしてコージー・パウエルの3人のアイディアとパワーが炸裂する名曲である。

この曲は、それまで停滞気味だった上に、パンクロックの勃興ですでに古い存在となっていたハードロックの壁を打ち破って、メタルという新しい表現様式を確立した。

そして、このアルバムを特に素晴らしいものにしているのが、ロニー・ジェイムス・ディオのヴォーカルである。高音でシャウトしても声が痩せず、いかにもメタル的な”こぶし回し”を聴かせている。

サウンドを過激にしていくことはたやすいが、それを受け止めるだけのある力量のヴォーカリストは少ない。ロニー・ジェイムス・ディオこそは、その要請に応えることができる数少ない人材であった。

このアルバムを最後にレインボーを去り、ブラックサバスに加入して発表した「ヘブン・アンド・ヘル」も傑作として知られている。

なお、アルバムの最後に収められたバラード「レインボー・アイズ」は、90年代にリッチーブラックモアが立ち上げるアコースティックグループ「ブラックモアズ・ナイト」の原型にもなった。

パンクロックがすぐに廃れ、ヘヴィーメタルが発展していった理由の一つは、ギターキッズの熱狂を集めることができたかどうかという違いである。このアルバムは、時代の要請により発表されるべくして発表された傑作として聴き継がれていくことであろう。

(収録曲)
1. ロング・リヴ・ロックン・ロール
2. レディ・オブ・ザ・レイク
3. L.A.コネクション
4. バビロンの城門
5. キル・ザ・キング
6. ザ・シェッド
7. センシティヴ・トゥ・ライト
8. レインボー・アイズ
(TechinsightJapan編集部 真田 裕一)