パソコンが普及しはじめたころ、本体に付属するマニュアルを読んでもさっぱりわからず、あろうことか「マニュアルを読むためのマニュアル」まで添付して売っていたメーカーがあった。
もちろん、マニュアルそのものがダメだったのではない。その逆で「立派すぎた」のである。エンドユーザー向けマニュアルに限っては「立派すぎるマニュアルは誰も読まないマニュアルである」という法則が当てはまる。
そこで、いかに素人臭くて「下手なマニュアル」を作るかを考えるべきである。といっても内容がマズくては話にならない。立派なマニュアルに手書きの補足説明が付いたマニュアルは、おおむね好意的に受け入れられる傾向がある。
そんな用途にピッタリなMicrosoft Office互換のオフィススイートがEIOffice2009である。
EIOffice2009は、ワープロ、プレゼン、表計算の3つをセットにしたスイートである。Microsoft Officeとの高い互換性を有し、「ファイル変換器」なるツールまで用意されている。
ここまでならば、他にも同様のスイートは多くあるが、EIOfficeの特長は、ワープロ、プレゼン、表計算の各作業ファイルをツリー上に一覧できることである。
そして相互変換機能もあるので、ワープロで作成していたファイルの一部を、プレゼン資料に使おうと考えたときに、ただちに変換できるのが便利である。
そして、もうひとつの便利機能が、作成中の文書にペイントツールで手書き文字がかけることである。立派なマニュアルには、重要部分をマーキングしたり、アンダーラインを引いたりしているが、それだけではなかなか目にとまらないのである。
しかし、手書きのペイント文字で、「はい。注目 ここ重要」「特に注意してください」と書いてあれば、どんな人でも熱心に読む。見た目は決して良くないが、マニュアルとしては非常に有用なのだ。
マニュアルが変更になったときに、新旧対照表や差し替え分を送っておしまいというのでは、末端のユーザーは変更になったことすら気がつかないことがあるが、「ここが大きく変わりました。」と書いてあれば、注目する。
PCマニュアルに限らず、機械の操作方法や業務手順を説明するマニュアルは、代々の担当者が鉛筆書きで注意事項を書き込んで、ボロボロになったものが、命綱となっていたものである。オフィスソフトで何でも作れる時代だからこそ、手書き文字のパワーを大事にするべきである。
ElOffceには、そのほかに数学や物理の教師が教材作りをするのに便利な数式エディタも搭載しており、これまでMicrosoft Officeで苦労して作成していた教材が、簡単にできるというメリットもある。
代替オフィススイート導入の有力な選択肢として検討に値するであろう。
(TechinsightJapan編集部 真田 裕一)