writer : techinsight

【3分でわかる】名探偵コナン

1994年の連載スタートからコミックスは68巻を数え、掲載誌である『週刊少年サンデー』内では最長連載作品となっている『名探偵コナン』。4月17日には劇場版第14作『天空の難破船』 が公開され人気を博している。

高校生探偵として日本中(どうやらその後、世界にも名だたる存在だったようなことを匂わせてもいるが)にその名を知られる工藤新一。物語はその新一が事件を解決するところから始まるが、本当の始まりは探偵事務所を営む父と、別居して弁護士事務所を営む母を持つ幼馴染の少女 毛利蘭と遊園地へ出かけたところからだ(と記者は勝手に思っている)。

第一話から幼馴染の微妙な関係に早くも白黒つくという展開なのか?!とドキドキしながら読み進めると、なんと、2人がいい雰囲気で乗り込んだジェットコースターで殺人事件が発生する(しかも首を切断されると言う残虐極まりないもの)という、どう考えても現実ではそうそう遭遇することのない展開でストーリーは一気に怪しげな方向へと向かう。事件はすぐに解決したものの、コースターに同席していた黒ずくめの男たちの行動が気になった新一は、蘭を置き去りにして一人で彼らを追っていってしまう。

彼らの取引現場を目撃し、証拠写真の撮影に熱中している新一の背後から忍び寄る影。それは、さっきジェットコースターに乗り合わせていた黒ずくめの男2人のうちの1人だった。背後から殴られ昏倒する新一は、彼らが属する【黒の組織】が開発したという完全犯罪のための毒薬【APTX(アポトキシン)4869】を飲まされる。しかし、薬を飲んだ新一の体には異変が起き、気づくと小学生ほどの体型に。これが、「体は子供、頭脳は大人」な名探偵 江戸川コナンが誕生した瞬間であり、長きに渡る【黒の組織】との因縁の始まりとなるのである。

ここまででも十分非日常的であり、大人が幼児化できる薬があったならどれだけ欲しがる人がいるのだろうかなどとついつい下世話なことを考えてしまう記者。しかし、逆にここまでありえない設定だからこそ、素直に漫画として楽しめるのかもしれない。

新一はその後、隣人である阿笠博士の協力により阿笠博士の親戚の子「江戸川コナン」として蘭の家へ預けられ、蘭の父であるヘボ探偵 毛利小五郎を上手く利用して様々な難事件を解決し、小五郎を「眠りの小五郎」と呼ばれる名探偵へと変身させる。その一方では、編入した帝丹小学校(一体どのようにして編入が認められたのかは謎だが)で少年探偵団を結成し、日々探偵としての活動を続け【黒の組織】を追っていくのだ。

ストーリーが進むにしたがって、「西の服部、東の工藤」と称されている大阪の高校生名探偵 服部平次の登場、【APTX(アポトキシン)4869】の開発者である【黒の組織】の元メンバーシェリーまでもが同じように幼児化し、阿笠博士に助けられ灰原哀として帝丹小学校に編入してくるなど、益々複雑な状況に。それでも【黒の組織】との因縁に決着がつく様子はまだまだ見られない本編に、ここまで何かとキーパーソンになっている阿笠博士が何らかの形で【黒の組織】と関わっているのでは?と疑ってしまいたくなるのは記者だけではないはずだ。

さすがにこれだけの長期連載になると以前の伏線を忘れ、全体の流れを覚えつつ楽しむということが難しくなることもあるのだが、それぞれの事件の推理やキャラクター同士のコミカルなやり取りを楽しむだけでも十分楽しめる同作品。コアなファンはじっくりと読み込んで複雑な背景を念頭に置きつつ、サラリと楽しみたいファンは区切りごとの推理とストーリーをと、それぞれのスタイルで楽しむのもアリだろう。

ちなみに、本作の影の主役といっても過言ではない(と、これも記者が勝手に思っている)怪盗キッドとコナン(もしくは新一)の頭脳戦も見所の一つ。純白のシルクハット・スーツ・マントに片眼鏡(モノクルというらしい)というキザないでたちの怪盗キッドは、青山氏の漫画『まじっく快斗』の主人公であり、普段の姿はIQ400の頭脳を持つ高校生。本作には度々登場し、単なる怪盗としてだけでなく、時には新一のフリをして蘭を惑わせたり、時にはコナン(新一)と協力して謎を解明することもあるなど憎めない存在だ。ちなみに『まじっく快斗』については、劇場版コナン最新作公開日にアニメ専門チャンネルアニマックス(ANIMAX)にてスペシャルアニメがオンエアされており、こちらも大きく反響を呼んだ。アニマックスの作品ページには放送を見た多くのファンからのコメントも書き込まれており、この放送のために契約をしたというユーザもいたようだ。残念ながら記者は当日見逃してしまったのだが、5月3日には再度放送される予定というので、同じく見逃したという方も是非チェックをお忘れなく。

この春、コナンにキッドにと余すところなく楽しませてくれている青山ワールドだが、来年はアニメ化15周年の記念すべき年。ファンならずとも気になる方は多いはず。来年の15周年を前に、今一度全巻を一気読みして気持ちを盛り上げてみるのもお勧めだ。
(TechinsightJapan編集部 北島要子)