writer : techinsight

【パソコン快適活用術】日本語変換システムのあれこれ Google日本語入力とBaiduType

日本語変換システムは、パソコンの作業効率を左右するものとして、古くから重視されてきた。
2009年までは物書きならばATOK、一般ユーザーならばMS-IMEで十分であったのだが、ケータイ世代の台頭とともに、新たな入力メソッドが模索され、2010年にGoogle日本語入力BaiduTypeベータがリリースされた。今回はこの2つを比較してそれぞれの賢い使い方を紹介してみる。

百度は、メールを打ったり返したりといった日常の生活において、ケータイ世代にとっては非常に使いやすい日本語入力システムであると言える。つまりタイピングのとおりにインクリメンタルに入力候補がサジェストされるので、短い文例ごとに着実に変換していけば、ATOKのように長文を打ったあとで誤変換を修正していくよりも効果的であると言える。

ただし、同音異義語の適切なサジェストや、前後の文例において最適な変換候補を表示するといったことはやってくれないので、ビジネス向きではない。

MS-IMEで長文変換をするよりも、慣れしたしんだケータイ入力をパソコンでも行いたいというユーザー向けのツールである。

五十音つきテンキーを備えたキーボードと連動するようになれば、ケータイ世代にとっては、効率的な文書作成ができると思われる。

一方、Google日本語入力は、Webから収集された入力変換頻度の多い文例を先読みでサジェストしてくれるので、集合知の利用という面でテープ起こし職人やブログライターには重宝するツールである。

ただ、ケータイ世代にとっては少々ウザいかもしれない。なにしろ予測すらしない文例が先読みで表示されるので、自分の打ちたい文章がどれにも該当しないときには、邪魔に感じられることがある。

こうした状況を受けて、日本語入力システムの王者と目されるATOKの使命は、「正しい日本語の啓発活動」に尽きるであろう。現在、ATOK販売元のジャストシステムはエンタープライズ向けの日本語ソリューションといった方向にシフトしているが、パーソナル向けとして期待したいのは、「辞典つき日本語入力システム」としての啓蒙機能である。

2010年以降、日本語入力システムにはこうした棲み分けが必要とされるであろう。
(TechinsightJapan編集部 真田 裕一)