writer : techinsight

【名盤クロニクル】バーススタイン指揮「ストラヴィンスキー【春の祭典】」

(画像提供:Amazon.co.jp)

映画「シャネルとストラヴィンスキー」が公開され、今年のクラシック界はちょっとしたストラヴィンスキーブームになっているようだ。映画の中で登場したバレエ音楽「春の祭典」の演奏会が各地で催される。

この作品はかなりの難曲なのであるが、人気曲でもあるので、オーケストラの方も場数を踏んでおり、これから人気再燃演目になるであろう。
録音は多数リリースされているが、その中から今回は巨匠レナード・バーンスタイン指揮の録音を紹介したい。

映画を見れば、この曲が初演されたときの観客のすさまじい怒りと罵声は承知しておられると思うが、いわゆる「白鳥の湖」系のヒラヒラお姫様バレエを期待していた観客は、この曲のすさまじいオーケストラの咆哮と、前衛的すぎる舞踊に怒るのも無理はないであろう。

この作品を聴くときには、その初演時の騒動を思い浮かべながら聴くと大変楽しいが、実は演奏解釈の面でも非常に難しい曲である。土俗性と躍動感、モダンな響きと古典的な響きをバランスよく表現しなければならない。土俗制に傾きすぎると躍動感が失われ、前衛性を強調しすぎると、迫力に欠ける。

バーンスタインとロンドンフィルの演奏は、こうしたバランスを保ちながら、大げさとも思える打楽器の強調によって、血湧き肉躍る名演になっている。

また、ところどころにいかにもバースタインらしい、大見得を切るようなテンポの扱いや、アンサンブルをかなり変更したような箇所が見られ、この曲を知り尽くした人が聴いても楽しめる内容になっている。

(収録曲)
1. バレエ音楽「春の祭典」
2. バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
(TechinsightJapan編集部 真田裕一)