writer : techinsight

【お笑い峰打ちコラム】“真面目にふざける”めちゃイケの流儀

 フジテレビ系で放送されている、お馴染み「めちゃ×2イケてるッ!」。1996年にスタートして土曜夜8時、通称“土8″をお笑い枠の代名詞に押し上げ、いまでもトップを走り続けるモンスター番組だ。

 放送開始から13年、常に順風満帆だったというわけではない。それでもけっして失速することなく、おもしろい番組であり続けた秘訣とは一体なんであろうか。

 2月27日に放送された「プロフェッショナル めちゃイケの流儀」、めちゃイケお得意のパロディ企画である。パロディとしての質の高さはもちろんのこと、お笑い番組としての基本もおろそかにせず、そしてなにより世間の風潮に正面から立ち向かう姿勢はあっぱれであった。

 放送はBPO(放送倫理・番組向上機構)に寄せられたクレームをナインティナイン・岡村の主導により改善するという体で進められた。鈴木紗理奈をチョコレートまみれにした映像は見るに耐えなかったとの指摘に対して岡村が生コンクリートをかぶり、武田真治のサックスをシャワーにしたのは可哀想だという意見を受けて私物のスニーカーやマイクやライトから放出される水を思うさま浴びる。淡々とした1時間は皮肉と笑い、そしてなにより覚悟に満ちていた。

 番組後半のナレーションでは、めちゃイケが万人に愛されることはけっしてない、と堂々の宣言。それでも安心できる笑いを提供すると結んだ。

 たとえ誰かに批判されようと、信じる笑いを追い求める覚悟。そしてそれを実践するために、舞台裏で繰り返されるトライ&エラー。これこそがめちゃイケのおもしろさの秘訣である。笑いについてこれほど真摯に考え、“真面目にふざけ”ている番組はそう多くはない。

 お笑いブーム終焉の足音が聞こえてきている今、どれだけの番組が生き残れるだろうか。それは覚悟の有無、覚悟の度合いに懸かっている。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)